MR編
百五十九話 苦闘
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ウと、少ないサポートでも持ちこたえるキリトの存在があるからだ。いずれにせよ、此処はアスナ一人でユウキを抑える必要がある。
「……!」
数合でも打ち合えば今のユウキの状態は知れた。おそらく今の彼女は、基本的な動き以外は過去に行った彼女自身の動きをいくつかに分けて、状況に寄って繰り返しているような状態なのだ。その為、剣速はいつも通りの超高速だが動き自体は単調で読みやすく、彼女の動きの癖がそのままに出ている。
「(それなら─!)」
状況自体は予想外も予想外ではある物の、それならば防御に徹すればキリトたちが対応するまで十分にしのげるとアスナは踏んだ。実際、その状況判断は流石と言うべきか、間違ってはいなかっただろう……平時ならば。
──その理由は、複数あった。周囲がかなり薄暗く間合いを測りにくい視界であった事。アスナの武器がそもそもあまり防御向きではないレイピアであったこと、サチがターゲットになる事を可能な限り避けるため余り間合いを大きくとる事が出来なかった事。そしてアスナが近接戦闘における駆け引きに余りにも慣れていたこともある意味では今回は裏目に出てしまったかもしれない。しかし事今回においては、アスナが自らのすべき選択を間違えたと悟る羽目になった最大の理由は、「相手がユウキであったこと」だった。
ほんの一瞬だった、間合いを調節するために打ち込む筈だったけん制の一突きを放とうとした刹那、たった一瞬だけ今にも泣きだしてしまいそうな顔で剣を振るユウキと目があってしまったのだ。以前デュエルで見た時とは、余りにも違い過ぎるその目を見た瞬間自らの胸に去来したのが、罪悪感だったのか憐憫だったのか、あるいは彼女にこんな事を強いるボスモンスターに対する怒りだったのか……それを彼女が正確に理解するよりも前に、状況は動く。
「あっ……!」
直後に残った事実が三つある。一つ、その一瞬だけアスナの動きが明確に鈍った事。二つ、その一瞬は、絶剣と呼ばれるほどの剣速を持つユウキの身体に記録された動きをもってすれば仕掛けるには十分な時間だったこと。そして三つめはそれまで微妙なラインで保たれていた二人の間の均衡が、その瞬間に一気に崩れたことであった。
「アスナッ!」
切り込む本人が悲鳴を上げる。おかしな状況だったがその動きのキレは見事なもので、霞むほどの速さで紅い尾を引いたユウキの剣が、一息に同一軌道の三連撃を放つ。
片手剣 三連撃技 [シャープネイル]
咄嗟に突きの構えを無理矢理受けに切り替えて立てた細剣でそれを受けようとするも、間に合わずに一撃がアスナの身体をまともにとらえる。ヒーラーとして魔法を重視した装備でいるアスナはろくな防具を付けていない。その一撃だけで大きくノックバックを起こし、逆に技後硬直の少ない技を放ったユウキの身体は即座に追撃の体
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