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ペルソナ3 ケン と マコト
中編
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「どうして、あいつのことに気づいたの?」
男の子が訊いてきた。
私の後を追ってきたのには驚いたけど、どうも私のことを心配してくれたらしい。真面目でやさしい性格なのだろう。
彼に尾行の仕方について指摘を受けたおかげ少し頭が冷えてきた。手配犯を見つけたことで、頭に血が上って冷静さを失くしていたようだ。
「私のお父さん、警察官なの。市民の平和な暮らしを守るんだって一生懸命頑張ってるわ。私はそんなお父さんが大好きだし、尊敬しているの。
そのお父さんが、あの連続強盗犯に対しては、すごく怒っていた。弱いお年寄りを狙って食い物にする最低の奴だって。だから私、手配書の顔写真を見て顔を覚えちゃったのよ。これがその最低な奴の顔なのかって。」
「そうか・・・それで、その男を見つけたんだね。」
「偶然ね。」
私はうなずく。
「たまたま、お姉ちゃんと一緒にポロニアンモールに来てて、喫茶店で休憩して入ったの。お姉ちゃんが用事でて席をはずしている間に、近くにいた男がサングラスをはずして、おしぼりで顔を拭いたのよ。その素顔を見てすぐに気づいたわ。大高だって。
でも、その後すぐにあの男は席を立って店を出てしまった。だから、見失わないように1人で追ってきたのよ。」
「それで駅の近くで僕を見つけて声をかけてきたのか。」
私はうなずいて、話を続けた。
「警察に知らせたいんだけど、相手が動き続けてるとなかなかそれも難しくて・・・。」
「確かに、事情を説明している間に見失っちゃうからね。僕が携帯を落とさなきゃ、話が早かったのに・・・」
男の子が悔しそうに言った。
携帯電話を落としてしまったのは残念だったが、私ですらやっと間に合ったモノレールに後から追いついてきたのだ。きっとすごい勢いで階段を駆け上ってきたのだろう。
それを思うと、携帯を無くさせてしまって申し訳ないと思いこそすれ、彼を責める気にはなれなかった。
「ポートアイランド駅にいたことまではお姉ちゃんに言ったから、きっと警察にも伝わるはずよ。問題はその後ね。・・・こうしましょう。あいつが駅で降りたら、あなたは駅員に事情を説明して警察に連絡してもらって。私は尾行を続けるわ。」
「それじゃ、君が危険だよ。その役割は逆にしよう。」
「私が始めたことだもの。巻き込んでおいて、私が引くわけにはいかないわ。」
「男として、女の子に危険な方をさせられないよ。」
話は平行線になってしまった。
結局、しばらくは二人で尾行してチャンスを待つことにした。
「でも本当にいいの? 私、あなたを巻き込んでしまって・・・」
「僕らが頑張れば、犯人を逮捕できるかもしれない。そうすれば次の被害も防げるんだ。見逃せないだろ。」
男の子が眼を光らせて力強くいう。
改めてよく見るとなかなかの二枚目だった。正義感が強いし、頭もいい。

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