第四章
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「わたくしは幼馴染み、お友達として」
「その間柄で」
「ずっといましたしこれからも」
「そうなの」
「そうですの、ですが」
「それでもなの」
「わたくしはこれからも」
柘榴に慎重に言葉を選びつつ答えていく。
「その立場は変わりませんわ。ですが」
「ですがっていうと」
「同性愛の趣味はありませんけれど」
このことは断るのだった。
「どうしても。ですが」
「それでもなの」
「わたくしと一緒にいて下さるなら」
それならというのだ。
「わたくしもですわ」
「いいの」
「ええ、キスは無理ですけれど」
それでもというのだ。
「一緒にいて下さって手をつなぐ位なら」
「いいのね」
「男の方とのお付き合いはそのままですわね」
「それは」
もうとだ、柘榴も答えた。
「男の人は何があってもあの人だけ」
「そうですのね」
「それで女の子も」
「わたくしだけですのね」
「そう思っているから」
だからだというのだ。
「一緒にいたい。それで」
「手をつなぐの位でしたら」
「瑠璃はそれでいいなら」
それならというのだ。
「一緒にいて」
「それでは」
瑠璃は柘榴の言葉に頷いて答えた、そうしてだった。
柘榴はそっと手を伸ばして瑠璃の手を握った。瑠璃も握り返して応えた。その後で瑠璃は食べ終えるとすぐに内匠が待っている生徒会室に向かって柘榴は彼女を微笑んで見送った。
これまで以上に二人で一緒にいることが多くなった、瑠璃も柘榴も決して一線を超えることはなかった。だがそれでもだった。
二人で一緒にいた、柘榴が瑠璃の手を握ると瑠璃も応える。そうして彼女に言うのだった。
「これ位ならですわ」
「いいのね」
「それで貴女が満足して下さるならいいですが」
「私も満足してるから」
これが柘榴の返事だった。
「これでいいから」
「では」
「これからも一緒にいよう」
「はい、そうしましょう」
二人で微笑みを交えさせた、そうしてだった。
この時も二人で手を握り合った、お互いの温もりがそれで伝わった。もう柘榴は瑠璃に意地悪をすることもなくなった、だがもう瑠璃にとってそんなことはどうでもいいことになっていた。
幼馴染は意地悪 完
2019・7・10
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