第一章
[2]次話
モザイクの城
もやもやしている、というかあらゆる感情が複雑に絡み合っている。
家に帰ると母がお家がやっている美容室のお客さんにマナーの悪い人が増えたのそのことをぼやいてばかりだ、父も最近腰の調子が悪くてそのことばかり言っている。
店を継ぐ為に働いている兄も最近テレビを観て嫌な顔で言うばかりだ。
「いい番組ないな」
「だからなの」
「テレビが気晴らしになってるのにな」
仕事のストレスからのというのだ。
「それでもな」
「最近いい番組がなくて」
「いつもしょうもないお笑いタレントやらどうでもいいコメンテーターばかり出てな」
そうしてというのだ。
「何の為にもならないバラエティや報道番組ばかりだろ」
「そういえばアニメも特撮も減ったわね」
「時代劇もな、ドラマも主役同じ事務所の人ばかりでな」
こちらもというのだ。
「面白くないな、こんなの誰が観るんだよ」
「そう言われたら」
私も否定出来なかった、とにかく子供の頃に比べてテレビは面白くない。家の猫は最近我儘ばかりでいい加減にしなさいと言うばかりだ。
家ではこんなので学校でもだ。
部活に行くと先輩が後輩の娘の態度をいつも注意していて後輩の娘も反発している。それで二人共私に愚痴を言う。
「あの娘の態度どうにかならないかしら」
「先輩ちょっと言い過ぎですよ」
「もっと真面目にしないと」
「杓子定規じゃ駄目ですよ」
私は間に入っている、正直聞く方もうんざりしている。
授業では今年からうちの学校に赴任してきた数学の先生の授業が全くわからない、こちらを見ないで黒板に向かって数式とかを羅列して言って私達に言わないで黒板に書いているだけで全くわからない。授業を受ける皆があの先生の授業はわからないと言う。
所属している厚生委員会は危ない仕事が増えて気が抜けない、何かと厄介なことばかりでもう気が滅入るばかりだ。
そうした状況を一つ一つ考えるだけでなくて絡み合わせて考えてしまって余計に気が滅入ってしまう、そうしたことが時には絡み合い混ざり合って何が何だかわからない。それで私はある日クラスで友達に言った。
「最近お家のお店に変なお客さんが増えてお母さんがぼやいてお父さんが腰痛めてて例は面白くないってお兄ちゃんが文句言って部活で先輩と後輩の仲が悪くて厚生委員会は危ない仕事それも仕事自体が増えて数学が」
「仁志田の授業わからないわよね」
「あと家の猫は最近特に我儘で」
「厄介なことばかりでっていうのね」
「一つ一つならましでも」
それでもだ、正直なところ。
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