第二章
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自分の都合によってへらへらと諂い横柄で図々しく厚かましい、他人の場所でも平気でものを漁り。
自己中心的で自分の都合で平気で人を切り捨て利用する、そんな輩で自分にも猫にも愛情なぞ持っていないと。
それで離婚も考えているとだ、掛布の妻に話した。その話を聞いて夫はまた言った。
「当然だな」
「本当に酷い人だから」
「絶対に結婚するまではへらへらしていてだ」
「結婚してからは」
「本性を出したんだ」
「そうなのね」
「あいつと付き合える奴はあいつと同じレベルの奴だ」
こうも言うのだった。
「最低ランクの下衆だけだ」
「そんな人多くいるかしら」
「いるか、だから会社の中でも孤立している」
自分達が勤めている八条建設奈良支店でもというのだ、彼はここで課長を務めているのだ。
「それであまりにも嫌われてな」
「それでなの」
「今度転勤する」
「そうなの」
「鬼界ヶ島支店にな」
「そんなところに支店あるの」
「支店といってもプレハブで人は一人だけだ」
そうした支店だというのだ。
「そしてそこに行くとな」
「どうなるのかしら」
「もう一生他に移れない」
「左遷先なの」
「仕事が全く出来なくて人間としても最低な奴の流刑地だ」
「そんな場所なのね」
「遂にそこへの転勤が決まった」
その流刑地にというのだ。
「中々クビには出来ないからな」
「八条グループだから」
「そうなった、もうこれであいつの顔は見なくて済む」
「清々してる?」
「今奈良支店じゃあいつ抜きで送迎会しようって話になっている」
「ご本人いないのに」
「呼ぶのも嫌だからな」
そこまで嫌われているというのだ。
「実質あいつがいなくなる祝賀会だ」
「そうなのね」
「その時が楽しみだ」
本人のいない送迎会実質的にはいなくなることを祝う祝賀会が行われる日が来ることをというのだ。
こうした話をしてだった、夫は。
その『送迎会』の後社宅に帰った、そうして妻に只今と言うと。
妻は息子達にこう言った。
「何か息子達が言ってるけれど」
「どうしたんだ?」
「団地の横の倉庫あるわね」
「ああ、掃除道具とか入れてるな」
「その中から猫ちゃん達の鳴き声がするらしいの」
「猫の?」
「ええ、何かね」
夫に怪訝な顔で話した。
「そう言ってるの、学校帰りに聴こえたって」
「そうなのか」
「猫ちゃんが入って出られないのかしら」
「だとしたら可哀想だな」
夫は嫌な奴がいなくなるということで支店の自分の課を挙げての大喜びの本人のいない送迎会でしこたま飲み上機嫌で酔う中で言った。
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