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神様の犬
第三章
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「いいかと。ただ猫ちゃんでも」
「人気が出るか」
「可愛いので」
「それでなんだ、しかし本当に」
 ここでまた言う佐々岡だった。
「ハナが来てからね」
「この神社に来る人が増えましたね」
「そのことはいいことだよ」
「神社もですね」
「人が来るとね」
 それでというのだ。
「いいからね」
「誰も来ないよりは」
「だからね、人が増えたことは有り難いよ」
「本当にそうですね」
「実にね」
 佐々岡もこのことはよしとした、だが。
 ここで彼はこうも言った。
「ただ、氏子さんで」
「この子をどうかと言われた」
「その人とは別の人でね」
「どんな人ですか?」
「お婆さんでね」
 まずはどんな人なのかをだ、佐々岡は八雲に話した。
「毎日ここに来て。前からだったけれど」
「山本さんですか」
「そう、あの人が特にね」
「この子を可愛がって」
「それで笑顔になっているんだよ」
「いいことですね」
「うん、山本さんは昔からここに来てくれて」
 佐々岡は八雲にさらに話した。
「お世話になってるし」
「その山本さんがですか」
「前以上に明るい笑顔になっているし」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「嬉しいですか」
「そう思っているよ」
「そうですか」
「うん、まああれかな」 
 佐々岡は今度は決めた様な顔になった、そうして言った。
「皆が来てくれてこの子が愛されているなら」
「それならですね」
「私は犬は嫌いだけれど」
 自分の感情は置いておいてというのだ。
「皆がいいならね」
「それならですか」
「別にいいか」
「それでは」
「飼っていこう」
 この神社でというのだ。
「そうしていこう」
「そうしていきますか」
「引き取り手が来てくれるまでと思ってたけれど」
 それでもというのだ。
「うちでね」
「完全にですね」
「引き取ってね」
 そうしてというのだ。
「大切に育てていくよ」
「わかりました、ですが」
「ですが?」
「人を引き寄せてくれて笑顔にしてくれるなら」
 八雲は微笑んで佐々岡に話した。
「もう神様のお使いですね」
「あっ、確かに」
 そうしてくれるならとだ、佐々岡も気付いた。
「そうだね」
「そうですね、では」
「神様の犬と思って」
「一緒に暮らしていけばいいですね」
「そうだね」   
 佐々岡は八雲の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼はハナと一緒に暮らしていくことにした、そのうえで彼女をこれまで家族に任せていた散歩や食事を与えることもはじめたが。
 散歩に行く時にハナにこう言った。
「ハナ、行こうか」
「ワン」
 ハナは尻尾を横にぱたぱたと振って応える、その時の顔は彼女がいつも自分に見せているものだった。彼は
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