第十一話 番人の特権と戦闘訓練
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く居にくいのでフェアルゲンから立ち去り、一先ず大樹の近くに拠点を作って一息ついた時の、ハジメの第一声がこれだった。拠点といっても、拓人がさり気なく盗ん……貰ってきたフェアドレン水晶を使って結界を張っただけのものだ。その中で切り株などに腰掛けながら、ウサミミたちはポカンとした表情を浮かべた。
なぜハジメが取り仕切ってるのかというと、これはハジメがやってみたいからという願いがあったからだ。
「え、えっと……ハジメさん。戦闘訓練というのは……」
困惑する一族を代表してシアが尋ねる。
「そのままの意味だ。どうせ、これから十日間は大樹へはたどり着けないんだろ? ならその間の時間を有効活用して、軟弱で脆弱で負け犬根性が染み付いたお前等を一端の戦闘技能者に育て上げようと思ってな」
「な、なぜ、そのようなことを……」
「めちゃめちゃに言うやんハジメ。まあ、仕方ないことだけどなあ‥‥」
「いいか、俺たちがお前たちと交わした約束は、案内が終わるまで守るというものだ。じゃあ、案内が終わった後はどうするのか、それをお前等は考えているのか?」
ハウリア族たちが互いに顔を見合わせ、ふるふると首を振る。カムも難しい表情だ。漠然と不安は感じていたが、激動に次ぐ激動で頭の隅に追いやられていたようだ。あるいは、考えないようにしていたのか。
俺が言葉を引き継ぐ。
「まあ要するに、俺たちが消えたらどうせ窮地に追い込まれるから、そうならないためにも戦闘訓練をしようということだ。少しでも生きるために努力するためにも、ある程度は戦えたほうがいいし」
「コウさんがそう言うなら‥‥‥私はやります!!」
シアが決然とした表情で立ち上がる。
「いい表情だ。他はどうする?」
その言葉に一人、また一人と立ち上がっていく。そして、男だけでなく、女子供も含めて全てのハウリア族が立ち上がったのを確認するとカムが代表して一歩前へ進み出た。
「コウ殿、ハジメ殿……宜しく頼みます」
言葉は少ない。だが、その短い言葉には確かに意志が宿っていた。襲い来る理不尽と戦う意志が。
「そこまでの決意があるなら十分さ。それじゃあこれから早速初めるぞ。ハジメ、拓人、蜂起はカムたちを。ユエと聖はミーナを。シアは俺とオスカーとだ」
「「「「「「了解!」」」」」」
そう言ってババッと散らばる。俺はそれを見届けて、シアとオスカーを連れ離れた場所まで来た。
「えっと‥‥‥戦闘訓練って何をするんですか?」
「とりあえず魔法適正があるか見極めないとな。オスカーも判断してくれや」
「分かったよ。それじゃあ始めようか」
「はいですぅ!」
そんなこんなで二日後‥‥‥。
「うん、こりゃあ適正なしだなあ‥‥
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