第十話 ハルツィナ樹海
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そんな目をコウと蜂起に向けるのはお門違い」
「……」
聖は静かに怒っているようだ。守られておきながら、コウに向ける視線に負の感情を宿すなど許さない!と言わんばかりである。当然といえば当然なので、兎人族たちもバツ悪そうな表情をした。
「ふむ、コウ殿、申し訳ない。別に、貴方に含むところがあるわけではないのだ。ただ、こういう争いに我らは慣れておらんのでな……少々、驚いただけなのだ」
「コウさん、すみません」
「ま、そんなこともあるさ。気にすんな」
俺は手をヒラヒラと振り、無傷の馬車や馬のところへ行って兎人族たちを手招きする。
ついでにオスカー作のバイクを二台取り出し、馬車と連結させた。
馬に乗る者と分けて俺たちは樹海へと進路をとる。ちなみにバイクに乗るのは、俺、ユエ、シアで一つと蜂起とミーナで一つだ。
「あの‥‥コウさん。ユエさん。お二人のこと、もっと色々教えてもらってもいいですか?」
「ん?装備や能力のことなら一通り話したが‥‥」
「いえ、能力とかそいうことではなくて、なぜ、奈落? という場所にいたのかとか、旅の目的って何なのかとか、今まで何をしていたのかとか、お二人自身のことが知りたいです。」
「ああ‥‥なるほどな。一応簡単には話してたけどな‥‥‥ちなみにそれ聞いてどうするんだ?」
「どうするというわけではなく、ただ知りたいだけです。……私、この体質のせいで家族には沢山迷惑をかけました。小さい時はそれがすごく嫌で……もちろん、皆はそんな事ないって言ってくれましたし、今は、自分を嫌ってはいませんが……それでも、やっぱり、この世界のはみだし者のような気がして……だから、私、嬉しかったのです。お二人に出会って、私みたいな存在は他にもいるのだと知って、一人じゃない、はみだし者なんかじゃないって思えて……勝手ながら、そ、その、な、仲間みたいに思えて……だから、その、もっとお二人のことを知りたいといいますか……何といいますか……」
「そうか‥‥それなら話すか。ユエもいいな?」
「ん‥‥‥」
ユエも了承したので、俺は過去のことを、ユエは何故奈落の底にいたのかを話し始めた。
結果……
「うぇ、ぐすっ……ひどい、ひどすぎまずぅ〜、コウさんもユエさんもがわいぞうですぅ〜。そ、それ比べたら、私はなんでめぐまれて……うぅ〜、自分がなざけないですぅ〜」
「‥‥なんか俺の境遇話したら人を必ず泣かせるんだけど‥‥。号泣の技能でもついてんかな?」
思わずそう零してしまう。シアは途中から涙を流し始め、とうとう号泣してしまったのである。
しばらくメソメソしていたシアだが、突如、決然とした表情でガバッと顔を上げると拳を握り元気よく宣言した。
「コウさん! ユエさん!
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