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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第九話 シアとミーナ
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からね。これぐらいなんてことないさ。まあ戦うのは苦手だけど、なんとかするよ」

とか言いながらオスカーの装備もとんでもない。属性攻撃ごとに分けられた投擲小刀や傘をモチーフに作られた最上級防御魔法を発動できるものなど多数所持。さらに身につけているメガネも先行弾並みの光を発光し、目潰し等に使えるというスグレモノだ。

(チートだらけだな、うん)

改めてそう思う。ちなみにこの世界では、勇者の光輝のスペックがチートらしい。それならば、俺たちは化物としか言いようがないのだが‥‥‥。

「おっと‥‥この階段登りきったら帝国兵と接敵だな。ユエ、降りてくれ」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ん」

長い間はさておき、ユエが俺の背中から降りる。俺はアヴェンジャー専用の弾薬を取り出し、装填。いつでも発砲できるようにする。

そして、階段を登りきった。やはりそこには三十人の帝国兵がたむろしていた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏っており、剣や槍、盾を携えており、俺たちを見るなり驚いた表情を見せた。

「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ〜こりゃあ、いい土産ができそうだ」

驚いたのは一瞬。直ぐに喜色を浮かべ、品定めでもするように兎人族を見渡した。


「小隊長! 白髪の兎人と黒髪蒼眼の兎人もいますよ! 隊長が欲しがってましたよね?」

「おお、ますますツイテルな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」

「小隊長ぉ〜、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ? こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ〜」

「ったく。全部はやめとけ。二、三人なら好きにしろ」

「ひゃっほ〜、流石、小隊長! 話がわかる!」

帝国兵は、兎人族たちを完全に獲物としてしか見ていないのか戦闘態勢をとる事もなく、下卑た笑みを浮かべ舐めるような視線を兎人族の女性たちに向けている。兎人族は、その視線にただ怯えて震えるばかりだ。

見かねておれと蜂起が一歩進み出た。

「あぁ? お前らは誰だ? 兎人族……じゃあねぇよな?」

「ああ、人間さ」

「お前の目は節穴かい?耳がついてないだろうが」

「はぁ〜? なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ? しかも峡谷から。あぁ、もしかして奴隷商か? 情報掴んで追っかけたとか? そいつぁまた商売魂がたくましいねぇ。まぁ、いいや。そいつら皆、国で引き取るから置いていけ」

「こいつらを渡せば、それ相応の金は払うのか?」

「あ?ああ、もちろんだ。それ相応には払うが‥‥‥」

「フフフ‥‥だってよ、蜂起」

「ああ‥‥結構
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