暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第234話「可能性の半身」
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「ふっ!」

 “ギィイン”と、一瞬で肉薄してきた“天使”の攻撃が弾かれる。
 直後にカウンターである理力を込めた掌底が突き刺さり、“天使”が吹き飛ぶ。
 さらに、同時に瞬間移動して帝の隣へ移動する。

「一旦離脱するよ!」

「あ、ああ……!」

 帝の肩に手を置き、エアがデバイスに戻るのと同時にその場から消え去る。
 そこへ“天使”達の攻撃が突き刺さるが、もうそこに二人はいない。









「……啖呵切ったのは良いんだけど、私も消耗してるからね……」

「えぇ……」

「これでも八束神社との出入り口辺りからずっと飛んできたのよ?」

 周囲に誰もいない場所まで来て、優奈と帝は一旦一息をつく。

「優輝がイリスに放った一矢。イリスにとっては、ただ一矢報いられた程度だけど……本命は別。リヒトと共に、“私”を分離させて帝の所まで届けるのが目的だった」

「……一体、何があったんだ?それに、あんたは一体……?」

「……順に話していく必要があるね」

 今まで優輝の親戚で、自分の好きな相手としてしか優奈を見ていなかった帝。
 ここにきて、優奈の謎さに懸念が出来ていた。

「まず最初に……私は、優輝の親戚なんかじゃないわ。ましてや、厳密には人間ですらない……のは、さすがに分かるよね」

〈ここにいる時点で、少なくともただの人間ではないのは確定ですしね〉

「エアには前にも会ったわね。あの時ははぐらかしたけど、さすがに今回は正直に説明するから安心して」

 結界を張り、周囲からばれないようにして優奈は説明を始める。
 結界は理力によって張られたものなので、神界でも普通に通用する。

「元々、私が生まれたのは本当に偶然だったの。優輝が神降しをして、椿の女性としての因子を取り込んだ事で、創造魔法の“性質”と優輝自身の本当の“性質”が作用した結果、“志導優奈()”という存在が生まれたの」

「“性質”が作用して……」

 例えるのなら、それは化学反応のようなものだった。
 偶然が重なった結果、もう一人の存在として優奈が生まれたのだ。

「私のような存在が生まれるのは、本来ならあり得ない事。……でも、優輝はそんな普通の存在じゃなかった。……その時の優輝は気づいてなかったけどね」

〈彼自身が特殊だったからこそ、貴女が生まれたと?〉

「そうね。優輝は、今でこそ人間ではあるけど、かつて……それこそ、人でいえば前世の前世の……そのまた前世。それぐらい前の時は、人ではなかった」

〈輪廻転生……いえ、魂が同一ならば、一宗教の理に限った話ではありませんね。……なるほど、“性質”の作用……となれば、かつての彼は……〉


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