第六十六話 エルヘブン
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たのです」
「魔界の王が復活しようとしている事、マーサが魔の者の手に拐かされ、未だに囚われている事。パパス殿がマーサを助けようと尽力していた事」
「マーサを真摯に愛し続けた者やその国の民に対して怒ることなど、どうしてできましょうか」
「我らに出来る事は些細な事。この世界に立ち込める暗雲を振り払う事など叶いませんが、せめてその助けは惜しみなく行いましょう」
「ありがとうございます。まず尋ねたいのは母の力が魔族に狙われる事になったのは何故でしょうか?」
「それを語るにはまずこのエルヘブンの成り立ちから説明しなくてはなりません。……と、その前に」
長老が手を叩くと、奥から従者の女性が現れた。女性の手にした盆には人数分のお茶が用意されており、私達全員にそれを配ってくれた。
「長くなりますので、どうぞお茶でも飲みながらお聞きください」
さて。このエルヘブンの成り立ちですが、太古の昔神がこの世界を3つに分けました。1つは神やその眷属の住まう天空界、今の私達が暮らしている人間界、そして魔の者を封じ込めた暗黒世界。
私達エルヘブンの民はこの3界の門を管理する定めを神から任されました。その門を自在に開ける力はかつてのエルヘブンの民にありましたが今ではその力は僅かにしか残っておりません。唯1人を除いて。
そう、マーサの事です。
あの子はエルヘブンの祖と同等なほど桁外れな力を持っておりました。世界間の門を自在に開くだけではなく魔物に理性をもたらすことすら可能とし、魔法の力も卓越したものを持っていました。
それ故にあの子は魔族に狙われたのです。
魔族の王は、かつて神の怒りを買い、魔界の奥深くに封じ込められました。そしてその封印を破る方法の1つとしてマーサの力に目をつけました。
今も彼女は抵抗を続けているのでしょう。しかしそれも長くは持たないでしょう……。
「何故母が狙われたのかはわかりました。次に魔界にはどうすれば行けますか?」
「貴方達も通った海の洞窟にある神殿。あの神殿に3つの指輪を捧げなさい。1つは水の力を宿した指輪。1つは炎の力を宿した指輪。1つは命の力を宿した指輪。それらを捧げれば魔界への門は開かれます」
「指輪の内2つは既にあなた達が持っています。残る1つはマーサがかつて持っていたのですが、どこにあるかは……」
「光の教団の本拠地に行けば指輪の手がかりが何か掴めるでしょう」
「貴方達にこれを…………」
長老の1人がアベルにあるものを手渡した。それは長い絨毯のように見えた。
「それは魔法の絨毯。低い高度なら空を飛ぶ事ができます」
「また見た目とは別に、載せられる物の重さや数などに制限はないので旅の人数が増えても問題なく使うことができます」
「ありがとうございます。情報だけではなく、こんな
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