第三章
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「あの、このワンちゃんは」
「お宅の」
「ああ、そうだよ」
父が答えた。
「うちの犬でうちの家族だ」
「そうですか」
「この子は」
「そしてうちの子の一番の友達なんだ」
今担ぎ込まれる彼のというのだ。
「だからなんだ」
「心配してですか」
「傍にいようとしているんですね」
「そうなんだ」
「そうですか、ですが安心して下さい」
「この子は大丈夫です」
病院の人達は笑顔で答えた。
「息はありますし」
「我々が助けます」
「君も安心してくれ」
ロックにも声をかけた。
「君の友達は私達が助ける」
「私達に任せてくれ」
「君は安心して待っていてくれ」
「そうしてくれるかな」
「・・・・・・ワン」
ロックは病院の人達の言葉にしばらく沈黙していたが頷く様に鳴いた。そうしてだった。
救急車に乗せられるジョンを見送った、救急車は出発しロックもジョンの両親も車を見送った。両親は心配そうだったが。
ロックはその両親に顔を向けて鳴いた、両親はその言葉を聞いて言った。
「そうだな、病院の人達が大丈夫と言ったんだ」
「それなら病院の人達を信頼しましょう」
「わし等は待とう」
「ええ、ジョンが帰って来るのをね」
「ロックもそう言ってるしな」
「それじゃあね」
夫婦は病院の人達に言われてもまだ心配だった、だがロックのその言葉を聞いて励まされてそれでだった。
安心して作業に戻った、その日元気はなかったがそれでも神に祈りつつそのうえで待った。すると仕事が終わって夕食の時に。
病院から朗報が来た、両親はすぐにジョンに話した。
「ジョンが目を覚ましたぞ」
「後遺症もないそうよ」
「単なる脳震盪だったとのことだ」
「軽くてよかったわ」
「念の為今日は入院するそうだが」
「明日の朝戻ってくるわよ」
ロックに笑顔で話した、するとロックも。
尻尾を左右に振った、夫婦はその尻尾の動きを見てまた笑顔になった。そして次の日の朝ジョンが家に戻ると。
ロックはもう玄関で待っていた、ジョンはその彼を見て出迎えてくれた両親に明るい笑顔でこう言った。
「ロックが待っていてくれたことが一番だよ」
「嬉しいか」
「そうなのね」
「うん、とてもね」
笑顔でこう言った。
「何よりも嬉しいよ、ロックとこれからもね」
「一緒にいたいか」
「そうなのね」
「大切な家族で。そして友達だから」
それ故にというのだ。
「だからね」
「そうか、じゃあな」
「これからもロックとは一緒ね」
「そうしていくよ」
ロックを抱き抱えて言った、そうしてジョンは彼と共に家に帰った。これからもずっと一緒にいよいと彼にも語り掛けながら。
友達の傍に 完
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