5話
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俺たちが目にしてるのは、巨大な竜。しかも、骨だけの竜だ。
ブランタークさんも同じことを言う。
「ただの竜じゃないな。この船の幅とさして大きさが違わないじゃないか・・・」
更に性質の悪い事に、この竜にはもう一つの特徴が存在していた。それは、既にこの竜には皮膚や血肉の類が一切存在しておらず、つまり骨だけで動いている竜であったという事だ。
「『骨の竜』・・・」
「・・・厄介だな」
(さて、どうすれば良いか)
こんなときこそ、冷静に立ち返る俺。見たところ、アンデッド・・・つまり、死霊系の竜。だとすれば、聖属性の魔法でやらないといけないなと推察する。
俺もヴェル兄も聖属性の魔法は扱えるが、何しろ、タイプが違う。
ヴェル兄は典型的な遠距離型の魔法使いだが、俺は剣を用いた魔法剣士だし。離れた距離も中距離が限界だ。しかも、放出がちょっと難しいタイプだ。魔力消費に関しては前世の所為か。比較的にできる方だ。
船長とブランタークさんの話でブランタークさんは勝てないと言ってきた。流石に無策で突っ込むよりは勝てないと言った方がマシだ。
だけど、逃げ続けるのも無理だ。魔晶石の魔力にも限界があるし。補充する魔法使いがいないといずれは、墜落する。ジリ貧だな。
ここで、ブランタークさんが
「手が無いわけでもない」
「おおっ! それは、どんな手で?」
藁にも縋る気持ちで、船長たちはブランタークさんの回答を待つ。
「あの竜はアンデッドだ。ならば、『聖』の属性魔法で成仏させるのが良いだろう」
「なるほど。リングスタット様が、聖の魔法で成仏させるんですね」
「いや、俺は聖の魔法は使えん」
嫌な予感。
クルリと俺とヴェル兄を視るブランタークさん。それにつられて、船長さんたちも俺たちを視てくる。ジィ〜ッと――。
ヴェル兄は今になって、
「お・・・ッ、俺ですか!?」
「やっぱり・・・」
「坊主たちしかいないだろうが」
ブランタークさん。当たり前のように言わないでください。ヴェル兄が反対してる中、俺はヴェル兄の肩を掴んで
「ヴェル兄。諦めよう」
「ヘルト!?」
「考えてみろ。このまま、王都に行くとしよう。あの竜もこの飛行船を追って付いてくる。王都で暴れられたら、エーリッヒ兄さんの結婚式がメチャクチャになる。下手したら、死人が出る。身内が亡くなってしまうなら、ここは腹をくくらないといけない気がする」
「ウグッ・・・それは・・・」
ヴェル兄も状況を理解して、ハアと溜息をついた。
「あと、一応、考えがあるから」
俺が告げ口で進言した。
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