暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第20話:一矢は報いる意志
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 それが彼の最大の失敗だった。透にばかり意識を向けていた為に、クリスの次の行動に対する反応が遅れてしまったのだ。

「ぐ、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
[MEGA DETH PARTY]
「むッ!?」

 突然絶叫を上げるクリス。

 ウィズがそちらに目を向けると、クリスが縛られた状態でスカートを変形させそこから大量のミサイルを発射しようとしていた。その際のバックファイアで目と口から血を流しているが、彼女はそれを気合で堪えるとウィズに向けて大量のミサイルを一斉に発射した。

 次々と殺到するミサイルが瞬く間にウィズを中心とした地点に命中し爆発と煙が彼の姿を覆い隠す。

 どれだけのミサイルが彼の元へと殺到したのか。局地的な絨毯爆撃が終了し、公園に束の間の静けさがやってきた。

 爆炎と煙に覆われたウィズ。奏と響が先程までウィズが居た場所を注目していると、風が煙を吹き飛ばしそれまで不鮮明だったウィズの姿が露となる。

 風で煙が吹き飛ばされた先、そこには翳した右手に発生させた障壁でクリスの爆撃を防いだ後と思しきウィズの姿があった。

 煙が晴れた周囲をウィズが見渡すと、地面があちこちクレーターだらけになったそこには二課の装者3人と颯人の他には誰の姿も確認することは出来なかった。
 どうやらあの隙にクリスと透には逃げられてしまったらしい。

 まんまと2人に逃げられたと悟ったウィズは、小さく溜め息を吐くと右手の指輪を交換してハンドオーサーに翳した。

〈プラモンスター、ナーウ〉

 ウィズが右手をハンドオーサーに翳すと、詠唱と共に彼の前に颯人が呼び出す使い魔のレッドガルーダの白バージョンとでも言うべきものが姿を現した。
 更にウィズは指輪を別の物に変えるともう一体使い魔を召喚する。こちらは始めて見る使い魔であり、その形状は3つの首を持った犬──地獄の番犬ケルベロスに酷似した姿をしていた。

 呼び出した2体の使い魔、ウィズはそれぞれに召喚の際に用いた指輪を差し込むと立てた人差し指をクルクル回して短く命令した。

「捜せ」

 酷く短い命令。だがそれで使い魔たちには十分だったのか、2体の使い魔は一声鳴くと各々別方向へと散っていった。

 それを見送ったウィズは、奏達……と言うか颯人の方を見ると彼へと近づきながら新たな指輪をはめハンドオーサーに翳して魔法を彼に掛けた。

〈リカバリー、ナーウ〉

 2年前に響にも掛けた癒しの魔法を颯人に掛けるウィズ。魔法を掛けられた颯人は魔法陣で包まれ、それが消えると呻き声と共に身動ぎして目を開いた。

「ぐ、うぅ…………ん? あれ、俺……あ、奏大丈夫か!?」
「馬鹿、あたしの事より自分の心配をしろよ!」
「あ、あのッ! 今の奴、翼さんにもお願
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