暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第20話:一矢は報いる意志
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の耳にも、彼の骨が軋む音が聞こえそうなほどの一撃。

 それがトドメとなったのか、蹴り飛ばされた先で颯人は再び動かなくなる。

 彼が再び気を失い動かなくなったのを見て、クリスは頭を抑えながら立ち上がった。ヘッドギア越しとは言え、頭突きの反動は大きかったらしい。

「あぁ、くそっ!? 何なんだこいつら、しつこ過ぎだろ? もうこんな奴らに構ってられるか。透、そいつ連れてさっさと行こう」

 透が響を連れていこうとしているのを、散々痛めつけられた奏には見ているしかできない。
 そしてその光景は、5年前の光景を嫌でも思い出させた。

 目の前で颯人をウィズに連れていかれた、あの時の事を…………。

「チクショウ…………チクショウ────!?」

 また何も出来ずに奪われるのか。自らの無力さと不甲斐なさに、奏は視界を涙で歪ませた。

 その時である。突如笛の音が公園中に響き渡り始めた。

「ん? 何だこれ? 笛?」

 突然聞こえてきた笛の音にクリスは首を傾げるが、その直後彼女の身に異変が起こる。

 ギアの各部から突然スパークが走り始め、上から何かに押さえつけられたかのようにその場に膝をついたのだ。

「な……んだ、こりゃ!? ギアが、急に重く──ッ!?」

 突如彼女の身に起こった異変に、透は響を拘束している鎖から手を放しクリスの肩を抱き上げた。
 その間も笛の音は止むことはない。

「これ、まさか、透がやってたのと同じッ!?」

 クリスの言葉に透はこの笛の音が先程の自身の演奏と同じ効果のある物だと気付き、クリスから手を離すと双剣を手に取り再び演奏を始めた。自身の演奏で笛の音の効果を掻き消すつもりらしい。

 だがその思惑は早々に崩される。ものの数秒と演奏しない内に、何かに弾かれたように透の演奏が中断させられたのだ。

「透、どうしたッ!?」

 演奏を中断した透にクリスが問い掛けると、彼は焦った様子で首を左右に振った。

 傍から見ていた奏と響には何がどうなっているのか理解できなかったが、これは透の演奏──言うまでもないがただの演奏ではなく魔法の演奏だ──が、笛の演奏の持つ力に負けたが故の事だ。

 まさかの事態に呆然となるクリス。

 そこに、新たな人物が姿を現した。白いローブのような服に琥珀色の宝石のような仮面の人物、ウィズだ。

 何処からかふらりとやってきたウィズは、そのまま歩いて透とクリスの前に立ちはだかるとコネクトの魔法で魔法陣からハーメルケインを取り出し2人を威嚇するように構えた。

 その佇まいから、その場で意識のある者達は全員が察した。この笛の音は彼の仕業だと。
 他に協力者がいるのかそれとも魔法で演奏を流しているのかは分からないが、クリスと透
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