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その日、全てが始まった
第2章:奔走
第8話 『不穏の予感』
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げる。

「この駅、反対側の路線に乗らないと辿り着けませんよ……」
「え……」

 洸夜に告げられた少女は、驚きの色を示す。

「この目的地への最寄駅は、ここのホームに着く列車とは反対の方面に向かう列車に乗らないといけないんです」

 洸夜は残念そうにそう断言するのだった。

「そうだったの……」

 少女はそう呟くと、何かを考え込んむ。
 そして、洸夜に対してこう尋ねる。

「その、もし宜しければそこまで案内して貰えませんか?」
「……ふぇ?」

 突然過ぎる事に、洸夜は変な返しをする。

「な、なんでまた?」

 しどろもどろになりながらも、洸夜は真意を問い掛ける。

「その……列車の移動が苦手で……」
「……なるほど」

 そう返した洸夜は、携帯を取り出し何かを調べる。
 そして、少女にこう言った。

「分かりました。時間に余裕があるので案内しますよ」
「ありがとうございます」

 洸夜は少女と共に、彼女の目的地へと向かう列車のホームへと移動した。

「……やっぱこっちのホームの方が飲んでるよな」

 ホームに辿り着いた洸夜は、誰にと無くそう呟くのであった。
 その数分後、ホームに1本の列車が入ってくる。
 2人はその列車に乗り込む。

「……凄い混んでるわね」
「今日は日が日ですからね……」

 洸夜はそう答えると、少女と共に乗り口とは反対の扉近くの角へと移動する。

「その、急なお願いを聞いて下さりありがとうございます」
「気にしないで下さい。自分が好きでそうしただけなので」
「ありがとうございます。ところで、今日はどちらに向かわれる予定でしたの?」

 少女の問い掛けに、あー……と唸ってから洸夜は口を開いた。

「郊外の方にちょっとその……瞑想(迷走)しに……」
「めい……そう……?」

 苦笑を浮かべた洸夜は、目の前で首を傾げる少女から、そっと目を逸らすのだった。

「まあ、少し違った場所に行ってみたかったんです」
「そうだったんですね」

 頷いた洸夜は、車窓へと視線を移した。
 流れる景色を茫然と見つめながら、彼は列車に揺られる。
 そして、いくつかの駅を過ぎ目的の駅へと到着する。

「ここです。降りましょう」

 洸夜は少女と共に列車から降りる。
 そして、人の流れに乗って改札の外へ出る。

「目的地はどっちですか?」
「流石にこれ以上は悪いです……」

 そう言って申し訳なさそうにする少女。
 対する洸夜は食い下がるのであった。

「そこまでやらないと、自分の気が済まなくて」
「なら、お願いします」
「はい」

 そう言って、2人は歩き出す。

「目的地まではどのくらいです
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