第2章:奔走
第8話 『不穏の予感』
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洸夜の言葉を聞いた紗夜は、僅かに驚いた様子で顔を上げた。
対する洸夜はだから、と言って続けた。
「俺がその答えを示すことは出来ない。強いてできることと言えば???何事にも向き合う覚悟が必要だ、って事を伝えることぐらいかな」
「そう……」
そう言って俯く洸夜に、紗夜は残念そうに言葉を返した。
「でも、相談に乗るぐらいはできるよ」
紗夜の頭に手を置きながらそう言う。
「ありがとう、兄さん」
紗夜は、感謝の言葉を述べる。
洸夜は、そんな彼女の頭を撫で始めた。
紗夜はそれを拒む事なく受け入れるのだった。
「さっきは……ごめんなさい」
「良いって。寧ろ、謝らなきゃいけないのは俺の方だよ……」
互いにそう言い合った後、洸夜はそっと手を離すのだった。
すると紗夜が、洸夜の左頬へと手を伸ばした。
「……赤くなってるわ。湿布貼らなきゃ……」
「いいよ。どうせこの後風呂入る予定だし」
「じゃあ、入浴後に貼りましょう」
紗夜は食い下がるのだった。
「別にそこまでしなくても……」
「そうじゃなきゃ、私の気が済まないの」
「……分かったよ」
紗夜の言葉に折れた洸夜は、そっと立ち上がった。
そして、扉の方へと歩き出す。
「今すぐどうにかなる事じゃないから、無理だけはするなよ」
そう言い残して、洸夜は紗夜の部屋を後にするのだった???
土曜日。
洸夜は自宅からの最寄駅に居た。
日が日なだけあって、プラットホーム上はそこそこ混雑していた。
そんな中彼は、遠出する為の荷物を背負って次の列車が来るのを待っていた。
すると彼の視界に、何やら辺りを見回している人物の姿が映った。
「なんだ……あれ」
そう呟くと、取り出した携帯の画面に意識を向ける。
普段と同様にネットサーフィンをしていく洸夜だったが、不意に視線を感じ顔を上げた。
すると、自身の傍らに自身を見つめる先ほどの人物が立っていた。
「……ッ!」
そのことに一瞬だけ驚く洸夜だったが、直ぐに視線を画面へと戻した。
だがしかし、隣からの視線が止むことはなく洸夜は流すことを断念するのだった。
「……何かご用でしょうか?」
「え、あ、私に言ってるんですよね?」
「当たり前じゃないですか……」
洸夜は頭を押さえつつそう返した。
そして、こう尋ねる。
「で、何なんですか?」
「実は……ここにはどうやっていけばいいのかを尋ねたくて」
そう言ってその人物???恐らく洸夜と同い年ぐらいの少女は、携帯の画面に映した地図を提示した。
「あー、えっとですね……」
地図を見た洸夜は、戸惑った様子でこう告
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