第2章:奔走
第8話 『不穏の予感』
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そう言って、その場を後にしようとした洸夜であったが、呼び止められるのであった。
「なんですかね?」
「一昨日のライブ、出てたよね?」
「観に来てたんですか」
リィの意外な言葉に、洸夜は少し驚いた様に返すのであった。
「うん。バンドの参考になるかなと思って」
「え、鵜沢さんってバンドやってたんですか?」
「やってるよ。『Glitter*Green.』ってバンドで」
「え、Glitter*Green.で?!」
リィの口から飛び出したバンド名に、洸夜は大いに驚愕するのであった。
「その反応だと私達を知っているみたいだね?」
「ええ。何度かライブを観たこともありますし」
「そっか。じゃあ、今度またライブやる時は観に来てよ」
「都合がついたらですが……是非行かせてもらいます」
「楽しみにしてるよ」
そう会話を交わしたところで、洸夜は店内に設置されたカフェスペースに向かい、そこにある席に座る。
「……さて、どうしたものか」
誰にと無くそう呟いた洸夜は、徐に携帯を取り出した。
そして、何をするわけでも無いが、ネットに潜るのであった。
そんな感じで30分程経った辺りで、店の奥からギターケースを抱えたリィが洸夜の元に現れた。
「出来たよ」
そう言って、洸夜のギターケースを差し出してくる。
「ありがとうございます」
洸夜はお礼を言いながら受け取った。
「じゃあ、お会計するからレジに来て」
「はい」
促された洸夜は、席を立つとレジへと向かう。
「じゃあ、今日は学割込みで3700円ね」
「3700円……これで」
「はい、丁度」
支払いを済ませた洸夜は、財布を仕舞いかけたところで、レジの奥に貼られていた1枚のポスターに目が止まった。
そのポスターは、近々デビューする予定のアイドルグループのものであった。
その中の1人に、見間違えるはずが無い姿があった。
下の妹の姿が。
「どうかしたの?」
「あ、いえ。少しポスターを……」
「あ、この『Pastel*Palettes』のやつね」
「ええ……」
ポスターの中に映っていたその姿を見て、洸夜は複雑な気持ちだった。
そんな事を知る由も無いリィが、こんなことを話すのだった。
「そう言えばさっき、紗夜ちゃんがここに来たよ」
「え、紗夜が?」
「なんかこのポスター見た後、練習があるとか言ってすぐいなくなっちゃったけどね」
その言葉を聞いて、彼の中では不安が募るのだった。
「そうですか……。あの、用事があるのでこれで失礼しますね」
「うん。じゃあ、今度のライブある時誘うからね」
「はい」
それだ
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