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その日、全てが始まった
第2章:奔走
第8話 『不穏の予感』
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 月曜日の放課後、洸夜はCiRCLEに居た。
 きっかけは前日の夜の事であった。
 洸夜がいざ床に着こうと思った際に、携帯に着信が入って来て応答したところ、友希那からの着信であり、翌日の放課後CiRCLEに来て欲しいと頼まれたのであった。

 そんな洸夜は現在、彼女達の演奏を聴きつつ、ノートと睨めっこしていた。
 すると突然、ペンを回すのをやめ、ノートに文字を走らせる。
 そして、彼女達の演奏が終わると共に、彼も文字を書き上げるのだった。

「どうだったかしら?」
「流石だな。お前らの初ライブを見たことが無いから、初めから比べるのは不可能だが、確実に延びてる」

 そう言ってノートを友希那に手渡した。

「これ。今日の改善点書いといたから」
「そう」

 短く返した友希那は、ノートを受け取った。
 そして、一同にこう告げるのだった。

「今日はここまでよ」

 その言葉で、一同は片付けに取り掛かるのであった。
 そんな中、洸夜は椅子に座ったまま考え込んでいた。

「洸夜、どうかしたの?」
「ん、ああ。何でもない」
「何でもない、と言う顔には見えなかったけれど?」

 リサの問い掛けに答えた洸夜に対して、紗夜がそう返すのだった。

「いやー、今日の数学の範囲で担当教師が言ってたことがイマイチ分からなくてな」

 そう言って洸夜は苦笑するのだった。

「それなら家に帰ってからゆっくり考えればいいのじゃないかしら?」
「一理あるな」

 友希那の言葉に頷きながら、洸夜は荷物を掴むのだった。
 そして、ドアのノブに手をかけ扉を開き外に出る。
 それに続いて片付けを終えた友希那達も、外に出るのであった。

「次の練習はいつだ?」
「明後日のつもりだけれど」
「その日は用事があるから俺は出れないぞ」

 分かった、と友希那は返した。
 洸夜はそんな彼女の反応に違和感を覚えるのであった。

「どうかしたの?」

 受付から戻って来たリサが、2人に尋ねるのだった。

「いや、なんにも」

 そう言って、洸夜は鞄を肩に担ぐのだった。

「じゃあ、俺は失礼するよ」
「私も失礼します」

 洸夜と紗夜は、そう言ってその場を去るのだった。
 それに乗じて、他のメンバーも解散するのだった。

「洸夜、自転車は?」
「今日は一旦家戻ったから置いて来た」

 その言葉で、紗夜は納得した。
 その隣を歩く洸夜は、相変わらず何かを考えていた。
 故に、紗夜が突然足を止めたことにも気付かず、かなり進んだところでそれに気付くのであった。

「……紗夜?」

 振り返った洸夜の視線の先では、佇んだまま何かを考える紗夜の姿があった。

「紗夜」

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