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ペルソナ3 追憶の少年
後編
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た。スタンドがつかなかった理由・・・影時間に入っていたのだ。
実は1日は24時間ではない。深夜0時から1時間ほど、隠された時間が存在する。それが影時間だ。
影時間には全ての機械仕掛けが静止してしまう。
しかし当然のことながら、普通の人はこの影時間のことを知らない。
この時間を体感できるのは、天田のような特殊な適応者だけなのだ。

うおおあああぁ・・

またあのうめくような異様な声が聞こえた。
(影時間なのに声?・・・ 誰だ?)
天田がはっと緊張したとき、先ほど出てきた和室から「おにいちゃん?」という声が聞こえた。
「菜々子ちゃん!?」
驚いて室内に戻る。布団に駆け寄ると、そこに菜々子がすがりついてきた。
(菜々子ちゃん・・・影時間なのにどうして?)
天田は困惑したまま、菜々子をしっかりと抱きしめた。
「なあに、あのこえ。ななこ こわい。」
「大丈夫だよ。僕がついてるからね。」
おびえる菜々子の背を軽くたたきながら静かに語りかける。
「でんきつけて・・・」
「ごめん・・・停電みたいなんだ。」
「ていでん?・・・おかあさんは?」
部屋に駆け込むとき、隣に敷かれた布団に棺が横たわっているのが、闇の中にうっすらと見えた。
象徴化だ。
影時間は普通の人間には認識できない。そして影時間に動ける特殊な人間からは、普通の人間の姿はなぜか棺に見える。
菜々子の母親は今、棺に姿を変え、この時間には存在していない。
(菜々子ちゃんはペルソナ能力者なのか? 今はとりあえず、これ以上怯えさせないためにも、気づかれないようにしないと・・・)
天田は、頭をなでながら安心させるようにやさしい声をだした。
「菜々子ちゃん、よく聞いて。・・・僕はちょっと様子を見てくるよ。」
「ななこ もいく。」
ひしっとしがみついて来る。
「停電だからね。暗くて危ないよ。すぐに戻ってくるから、ちょっとだけ待っててくれる?」
「こわい・・・」
「布団にもぐっていたら大丈夫だよ。本当にすぐ戻ってくるからね。」
「ほんと?」
「様子を見てくるだけだから・・・ここでじっとしてて・・・ね。」
「・・・わかった。・・・まってる。」
菜々子が小さい声で言った。不安なのを必死にこらえているようだ。
「いい子だね。安心して。何があっても絶対に僕が守ってあげるから。」
「うん」
天田は菜々子をそっと引きはがして布団に寝かせると、もう一度頭をなでて部屋の外に出た。
振り返ると、菜々子は頭まで布団に潜り込んでいた。
その姿に後ろ髪が引かれたが、それでも事態を把握することが優先だ。
意を決すると、慎重に様子を伺いながら廊下を進んでみる。その先の玄関は、扉が大きく開け放たれていた。

おあああああ・・・

外からまたうめき声が聞こえてきた。何かが
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