第八章
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店の主である三十代になったばかりと思われる金髪にうっすらと短い髭を顎に生やした男に近寄って彼に声をかけた。
「いいかしら」
「あっ、これは」
男は紗耶香を見て何かを言おうとした、だが。
紗耶香は男に対してこう言った。
「チョコレートアイスとクリーム、トッピングはナッツでね」
「それですね」
「一つ貰えるかしら」
「はい、それじゃあ」
男は紗耶香に彼女が注文したクレープを差し出した、紗耶香は代金を払ってそのクレープを受取って口にした。
そうして食べつつ男に対して銀座で警視庁の者から受け取った行方不明になった少年少女達の写真を見せた、ただ個人情報はここでは見せるのはまだ時期尚早と思い出さなかった、そちらはより話を詳しく聞きたい時に出すことにした。
男はその写真すべてまじまじと見た、それから。
長い黒髪を可愛らしくセットした娘の写真を見てそのうえで紗耶香に話した。
「この娘ここによく遊びに来るだけじゃなくて」
「他にもあるのね」
「実は秋葉原では有名な娘ですよ」
「秋葉原でなの」
「はい、秋葉原のメイドカフェのロゼッティってお店の娘で」
それでというのだ。
「お店じゃ評判の娘なんですよ」
「売れっ子なのね」
「高校卒業してすぐにお店に入って」
「このルックスだから」
「しかも接客もお店の中での人当りも調理もよくて」
「売れっ子になったのね」
「お店の中でも評判の。ただ俺あっちのお店のことよくチェックしてますが」
男は自分の趣味のことも紗耶香に述べつつさらに話していった。
「この娘最近出ていないらしんですよ」
「お店に」
「三日前から急に。お店の店長さんも心配してるみたいですよ」
「急に来なくなったからなのね」
「いつも真面目に来ていたのに」
それがというのだ。
「そうなって」
「それは当然の流れね。けれど」
「はい、この娘はです」
「突然なのね」
「いなくなったんですよ」
「他の子達と同じね」
紗耶香は男に写真を出した子達は全員この原宿で行方不明になった子達だと話して写真を見せた、それでここでこう言ったのだ。もっと言えば事情を話したからこそ言えたのだ。
「それなら」
「そうですね、じゃあ」
「ええ、情報有り難う。一旦秋葉原に行ってみるわ」
「ロゼッティにですね」
「行って来るわ」
彼女が働いていた店にというのだ、勿論ェ掛かりを探しにだ。それで紗耶香は今は原宿を離れてだった。
秋葉原に向かうことにした、男と別れの挨拶を交えてから物陰にすっと入ってそこからだった。
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