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レーヴァティン
第百四十一話 セビーリャ沖の湖戦その十一

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「しかし百発だとだ」
「当たるからな」
「だからだ」
「船上の戦はか」
「狙いを定めることは確かに大事でもな」
「数だな」
「そうだ、では撃っていくぞ」
 鉄砲、これもというのだ。
「いいな」
「わかったぜ、それじゃあな」
「砲撃と術、銃撃と空船の爆撃でだ」
 その全ての攻撃を合わせてというのだ。
「この戦に勝つぞ」
「これまで話している通りにな」
「この湖戦で勝てばな」
「ああ、次はな」
「セビーリャだ、制湖権も手に入る」
「後は俺達の領地からセビーリャに自由にものをも運べるしな」
「兵もな」
「こんなに有利なことはないしな」
「ここで確実に勝つぞ」
「それじゃあな」
 久志は正の言葉に頷き指揮を続けた、その指揮は湖の上の艦隊戦でも的確で乱れることはなく。
 自軍の艦船の数と装備の質と量の優勢、そして空船の力を効果的に使いそうしてだった、敵艦隊をどちらも追い詰めていき。
 そしてだった、遂にだった。
 敵軍は退きだした、久志はそれを見て追撃を命じたが。 
 夕刻になりそこから夜に近くなると追撃を停止させた、夜の闇の中を進み浅瀬や潮流に捉われることを警戒してだ。
 それで全軍集結させてそのうえで言った。
「よし、今夜はな」
「乾杯だな」
「勝利の美酒でな」 
 それでとだ、久志は正に話した。
「そうするからな」
「ではな」
「ワインもブランデーもラムもコニャックもな」
「酒ならだな」
「何でも出してだな」
「飲むぜ、ただし酔い過ぎてな」
 久志はこうも言った。
「バランスを崩してな」
「船から落ちるなだな」
「それは気をつけろよ、見張りも置いてな」 
 これは忘れなかった、やはり戦をしているのならこの程度の警戒は必要だということだ。
「夜に起きてる奴は朝に飲め」
「全員飲むにしろだな」
「そうしてな、今はな」
「とにかくだな」
「乾杯だ、そして明日は休んで」
 そうしてというのだ。
「明後日にセビーリャに向かうからな」
「ではな」
 正も頷いた、そのうえで。
 久志は全軍に乾杯を告げた、そうして彼もまた飲んだ。湖の上での戦に勝ったことを祝いつつそうした。


第百四十一話   完


                2019・12・8
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