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リュカ伝の外伝
才能と素質 後編
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の少年も困りものだ。だが私より多く(時間・回数)交流しているピエッサは気にする事無く指示に従ってる。

ウルフ閣下の指示通りピエッサが教室へ入ると一瞬のざわめきが起きる。
だがそれは直ぐに収まり、試験の為にピアノを弾いていた男子生徒も彼女を気にする事無く演奏を続ける。

続いて私が入る。
するとピエッサの時よりざわめきが長く大きく起こり、演奏者も一瞬だけ指が(つっか)えた。だが直ぐに立て直し演奏を続ける……大した胆力だと思う。

しかし、そんな胆力のある生徒もウルフ閣下が入室してきて完全に手が止まる。
そりゃぁそうだ。皆、私の登場時はこう思ったに違いない……盗作疑惑で進退窮まって叔父に言い付けに行ったピエッサ……と。

だが現れたのは国家のナンバー2……
言い付けに行ったレベルの問題では無い。
だが諸君。驚くのはまだ早いぞ!

「お邪魔するよ!」
軽く柔らかい口調と共に、試験会場である教室に入ってくるのは……国王陛下!
宰相閣下の登場で最大級の驚きを感じていると思ってた生徒諸君は、直ぐさまそれを上回る驚きを体験する。

「へ、陛下!?」
試験官で講師のサム・ラゴウスが跳ねる様に立ち上がり直立不動になると、驚きで思考が止まっている生徒らも同じように直立不動になる。

ちょっとだけ面白く感じていると、私の横に居るウルフ閣下が……
「ふふふっ……これが見たかった(笑)」
と、私やピエッサにしか聞こえない声で呟いた。もしかして入室順を決めたのって……

「ああ皆……気にしないで座って。ちょっとピアノを弾きたいだけだから」
ずっと変わらぬ口調の陛下は、そう言うと優雅な動作でピアノまで近付き、試験を受けていた生徒を他の待機生徒の下へと帰し椅子に腰掛ける。



そしてある曲を弾き終えた。
これが盗作された曲だろう。
ピエッサが感情的になるのが解る素晴らしい曲だ。

「さて……アイリーン・アウラーはどなたかな?」
盗作された曲を弾き終えた陛下は、座ったまま身体を生徒達の方へと向けると、問題の者の名をあげた。
すると幾ばくかの間を置いて1人の女生徒が震える様に手を上げる。

「君か……じゃぁ椅子を持ってこちらへ来て。立ち話もなんだからねぇ……」
言われたアイリーン・アウラーは震えながら椅子を持ち陛下の傍まで来ると、持って来た椅子を置き顔面蒼白で立ち尽くす。

「いや……立ち話したくないから椅子持って来させたんだけど(笑)」
そう言われ震えるぎこちない動作で置いた椅子に座るアイリーン・アウラー。
もう誰もが事態を理解してる。

「最初に言っておくけど……僕ね、一度会った女性は絶対に忘れないんだ。男は憶えられないけど(笑) だから自信持って聞くけど、僕と会った事無いよね」
「……あ
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