第1部
カザーブ〜ノアニール
故郷にて
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
他の妹たちはシーラのバニーガール姿が珍しいのか、彼女の周りにくっついて離れない。シーラも子供は嫌いではないらしく、普段どおりの様子で妹たちと戯れていた。
「すごいなミオ、これみんなお前のきょうだいなのか?」
2番目の弟カイに高い高いをしているナギが楽しそうに言った。確かナギは一人っ子だって言ってたっけ。
「そうだよ。ナギは子供好きなの?」
「ああ。オレ兄弟いないから、こうやって年下の奴と遊んだりするの憧れてたんだ」
そう言うと、今度はカイを抱っこしながら、ぐるぐる回り始めた。すると、他のきょうだいもナギの周りに集まって、口々にやってほしいとせがんできた。
皆の雰囲気が和んできたところで、お母さんが台所から料理を持った大皿を持ってきた。それは私が家にいた頃を含めても、はじめて見るご馳走だった。
ナギは料理が出された途端、勢い良く手を伸ばした。それを真似しているカイがなんだか微笑ましい。年の離れた兄が出来たようでナギのことをとても気に入っているようだ。
「ん〜、ミオちんの家の料理、すっごくおいしいよ!!」
「ほんと? そういってもらえると嬉しいよ」
けれどシーラはなんとなく物足りない顔をしている。そういえばシーラ、お酒が飲みたかったんだっけ。なんか悪いことしちゃったかも。
すると、玄関の戸をノックする音が聞こえた。
「ごめんください、こちらに勇者様とそのお仲間さんが来てるって聞いたんですけど」
その声は私の知らない人だった。おそらく私が帰ってきたのをご近所の人が聞きつけて、カザーブの村全体に噂が広まったのだろう。
私は返事をして、玄関先に向かった。扉を開くと、やっぱり私の知らない顔だった。
「やっぱり! あなた、うちの母が言ってた人だわ!」
「???」
知らない人にそう言われ、私は思わず面食らった。うちの母? それって私の知ってる人?
私の言葉を待たず、その女性は言った。
「あ、いきなり挨拶もせずすいません。私、ロマリアで宿屋を営んでいる女将の娘で、ラフェルといいます。今は夫と娘の3人で暮らしてますが、以前は母とロマリアで暮らしていたんです」
その一言に、私ははっとして思い出した。確かロマリアの宿屋のおかみさんの娘さんがカザーブに移り住んだと言っていた。
「こちらこそ挨拶が遅れてすいません、私、ミオっていいます。ロマリアの宿屋では、すっかりお世話になりました」
「いえ、お礼を言うのはこちらの方ですわ。母から手紙で勇者様のお仲間さんの話を聞きました。うちの娘もその話を聞いて大変喜んでるんですよ」
おかみさん、私たちのこと、ラフェルさんたちに話してくれたんだ。なんだか私の話を信じてくれた気がして、とても嬉しい気分になった。
「そうだ、今ちょうど夕食パーティーやってるんですけど、よかったら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ