第1部
カザーブ〜ノアニール
故郷にて
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ら怒られることもしばしばあった。
う〜ん、あのルカがねえ……。
私がため息をつきながら思い出に浸っていると、玄関の戸が開く音が聞こえた。それに反応したリアが、「おかあさん!!」と言って玄関の方に駆け出した。
「あら、ミオ!! お帰り!!」
私が返事をする前に、お母さんは私のところへ来るなり抱きしめた。
「もーっ! 帰って来るなら来るで一言連絡ぐらい入れてくれればいいのに! ご馳走作りたくても作れないじゃない!!」
そういってさらにぎゅっと強く抱きしめる。それは私の知るいつもの元気なお母さんだ。
「ごめん、旅の途中だったし、時間もなくて……」
「そうだよお母さん。お姉ちゃん、魔王を倒しに行ってるんだからそんな暇ないんだって!」
「そっか。じゃあ今夜はミオの大好きなものたっくさん作ってあげるからね! あ、そうだ! せっかくだから勇者さんたちも呼んできなさいよ。たいした物は出せないけど、あんたが日頃お世話になっているせめてものお礼にね」
そういうとお母さんは腕をまくり、やる気十分といった様子で台所に向かっていく。
その横でエマがなぜか期待に満ちた目でこちらを見ていた。
「? どうしたの、エマ」
「ねえお姉ちゃん、勇者さんてかっこいい?」
「えーと、多分かっこいいと思うよ?」
私は単純に見た目だけの特徴を伝えてみた。案の定、エマは自分好みの勇者像をイメージすることに成功したらしく、かなり満足そうな顔を浮かべている。
「そっかあ、じゃああたしも勇者さんに食べてもらえるように料理がんばろうかな♪ 勇者さんて好きな食べ物とかないの?」
「さ、さあ。良く知らないけど。でも確か、甘いもの以外なら食べるって言ってたよ」
私が戸惑いがちに言うと、エマは信じられないといった顔で、
「えー情報それだけ!? お姉ちゃん一緒に旅してるのになんでそんな基本的なこと知らないのよ!!」
と、半ば憤慨した様子で私を見た。
別にそんなに親しい間柄でもないのに、そんなこと言われてもこっちが困る。だってまだユウリと出会って一ヶ月ぐらいしか経ってないんだもの。
夕飯はお母さんとエマに任せて、私はユウリたちを誘うため、村の宿屋へと向かうことにした。
外はもうすでに真っ赤な太陽が家の屋根に隠れ始めていた。先に三人が食事を始める前に見つけないといけないので、私は歩みを速める。
「あ、ミオちんだー。やっほー」
聞きなれた声が私の耳に届いてきた。見回すと、こちらにやってくる3つの人影。なんという偶然だろうか。先頭を歩いていたウサギ耳の少女――言うまでもなくシーラなんだけど――が元気よく私に走り寄ってきた。
「あれ? みんなどこかに行くの?」
「聞いてよミオちん!! そこの宿屋お酒置いてないんだよ!? 信じらんな
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