第1部
カザーブ〜ノアニール
故郷にて
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て家事をしている。
そう思った途端なんだか急に寂しくなってしまった私は、ここでボーっと立っているのもなんなので、おとなしく家の中でゆっくりさせてもらうことにした。
そして、部屋を一通り見て私はあることに気づいた。
「ねえリア、ルカはどこか行ってるの?」
3人の弟妹が遊んでいるのを見守りながら、私はその中で最も年長のリアに尋ねた。
ルカというのは、兄弟の中でも一番元気な弟で、リアよりひとつ上だ。よくリアと一緒に遊んでいたのだが、なぜか今は姿が見えない。
「ルカにーちゃんはね、ロマリアでお仕事してるんだよ」
「お仕事!?」
私はリアの言葉に驚愕した。ここからロマリアまでなんて、そう簡単に行き来できる距離じゃない。つまり、たった一人でロマリアに出稼ぎに行っているということだ。それに、まだルカは11歳だ。ひとりで生活していけるほど自立しているとは思えない。
「ねえリア。ルカ、今どこにいるの? お姉ちゃんこの間までロマリアにいたけど、一度も見かけなかったよ?」
「うそー。だってエマねーちゃんがそう言ってたもん」
すると絶妙のタイミングで、洗濯物を干し終えたエマが戻ってきた。私は彼女に詰め寄り、なるべく妹たちに聞かれないように小声でルカのことを尋ねてみた。
「ルカの居場所? ……そっか。お姉ちゃんロマリアに行ってきたんだもんね」
エマは複雑な表情で話を続けた。それは、予想外の内容だった。
「本当はね、ここから遥か東にある、アッサラームにいるの。ロマリアじゃああんまりお給料もらえないからって、一月前にお父さんの知り合いと一緒に出稼ぎに行っちゃったの」
「ちょ、ちょっと待って。あんまりって……、うちの家計って今そんなに火の車なの!?」
「それはちょっと言いすぎだけど……。確かにお姉ちゃんが旅に出てから一度もお父さん戻ってきてないし、正直お母さんだけの収入じゃ食べていけないのが事実なの。でもあたしも内職してるし、リアたちも家の手伝いよくしてくれてるから、わざわざアッサラームまで出稼ぎに行かなくてもいいってルカに行ったのよ。でもあの子ったら、なんていったと思う?」
「想像つくようなつかないような……」
「ミオ姉ちゃんみたいになるために、アッサラームで修行して来るんだって」
「はあ??」
私は間抜けな声を上げながら眉根を寄せた。
「アッサラームで、何の修行するつもりなの?」
「知らないわよ。もうあたしあきれて声も出なかったわ。お母さんはお母さんで、お父さんの知り合いがいるから大丈夫でしょ、なんて言っちゃってるしさ。もう誰もあの子を止められないわよ」
確かに私が家にいる頃のルカは、とにかく好奇心が旺盛だった。初めて見るものには必ず首を突っ込むし、興味のあることには後先考えず突っ走っていってしまう。そのせいでご近所の人か
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