第1部
カザーブ〜ノアニール
故郷にて
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だよ。でも今は魔王を倒す旅の途中で、今日はたまたまここに立ち寄っただけ」
「へー! ミオねーちゃん、ちゃんと『ユウシャ』って人の仲間になれたんだ!!」
目をキラキラさせながら尊敬のまなざしで私を見るリア。彼女は私より6つ下で、昔から良く私になついていた。
「へへ、まーね」
私が自慢げに体を反らすと、リアの声を聞きつけたのか、部屋の奥から3番目の妹と2番目の弟がこちらにやってきた。
「あー、ミオねーちゃんだ!!」
「おかえいなさーい!」
3人の弟妹たちが次々と私に群がってくる。この暖かい雰囲気がなんだか懐かしく思えてきて、自然と笑みがこぼれた。
確かにユウリの言うとおり、皆を家に連れて来ても寝る場所なんてないかもしれない。他にもう二人弟妹がいて、さらに母親までいるのだから。
ちなみに父親は行商をしており、珍しいアイテムを見つけてきては世界各地に飛び回っている。私が家にいる間もほとんど家に帰って来ていなかった。
私は普段は家にいる母親の姿が見えないことに気づき、妹たちに問いかけた。
「そういえば、お母さんは?」
きょろきょろと辺りを見回した、その時。
「お母さんは仕事中だよ」
急に後ろから声をかけてきたのは、私より二つ下の妹、エマだ。山盛りになった洗濯籠を抱えて、にっこりとかわいらしい笑顔を私に見せた。
「エマ!!」
「久しぶり。急にどうしたの? 旅は? ひょっとして、勇者のパーティーに入れてもらえなくて、戻ってきたとか?」
「ち、ちがうよ! ちゃーんと勇者の仲間として認めてもらったし、今だって魔王を倒す旅の途中なんだからね!」
いいながら、ふと私ってユウリに仲間としてちゃんと認めてもらってたっけ?と疑問がわいた。
エマが洗濯籠を地面に下ろすと、妹たちが一斉にそちらに行き、手伝いをし始めた。私たちきょうだいは家の手伝いを小さい頃からするのが習慣付けられているので、いつの間にか無意識に体が動いてしまう。妹たちも例外ではないようで、姉としては少し嬉しく思った。
「それじゃあ、すぐ旅立っちゃうんだ」
「うん、ちょうどこの先のノアニールに用があるから中間場所として今日はここで一泊することにしたの」
私が残念そうに言うと、エマは小さく微笑んだ。
「そっか。じゃあ、適当にくつろいでてよ。ここまで来るの大変だったでしょ。これ終わったらお茶入れるから」
「じゃあ私も手伝うよ」
「大丈夫だよ。これはあたしの仕事だし、お姉ちゃんは大事な役目があるんだから今日はゆっくり休んでなよ」
そう言って、妹たちと共に洗濯物を干し始めた。
エマ、私がいなくてもしっかり家の事やってるんだなあ……。
私が旅に出る前は、お母さんの後ろで私のやることを真似ながら家の手伝いをしていたエマが、今では妹たちの手本となって率先し
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