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俺様勇者と武闘家日記
第1部
カザーブ〜ノアニール
故郷にて
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だろ! 魔物の子一匹入れさせてないぜ」
私が尋ねると、デルバおじさんはどん、と胸を叩きながら誇らしげに答えた。
「ひょっとして、その人が噂の勇者様か? そうか、ちゃんと仲間に入れてもらえたんだな!」
そう言うと、私の頭をくしゃくしゃに撫でながら、豪快に笑った。
「あの人一倍泣き虫だったミオがなあ……。立派になったもんだ」
「そういうこと皆の前で言わないでよ」
私は赤面しつつも昔のことを覚えててくれたことに、くすぐったい気持ちになる。
おじさんと挨拶をかわしたあと、私たちは村の中へと入った。
「そういえば、宿とかってあるのか?」
「えーと、一応あるよ。小さい村だから宿屋も小さいけど。でももし宿代浮かせたいなら、私の家に泊まりに来ても良いけど……」
「わーい!! ミオちんの家行きたーい!!」
「いや、俺たちは宿に泊まる。お前は自分の家に行け」
「え……、でもせっかくだしみんなでうちに泊まっていっても……」
 私が残念そうにそういうと、背の高いナギがぽんと私の頭に手を置いた。
「せっかくだから今日くらい家族水入らずで過ごせばいいじゃねーか。あのカタブツ勇者も珍しくそう言ってんだしさ」
 私はナギを見上げる。まさかナギがそんなことを言ってくれるなんて思わなかった。
 シーラもそれに納得した様子で、「宿屋やどや〜♪」と口ずさんでいる。
「ユウリ……」
「どうせお前の家など2〜3人座るだけで身動きが取れないような狭い部屋しかないだろうからな。そんなところで寝かされるぐらいなら金を払った方がマシだ」
「え、私に気を使ったわけじゃないの!?」
「何でお前にいちいち気を使わなければならん」
 ユウリはにべもなく言い放った。
「う……。まあ、でも、ありがとう」
 私は申し訳ないと思いつつも彼らの厚意に甘えることにした。3人は疲れた足取りで宿屋の方へ足を向けた。するとユウリが振り返って、
「その代わり明日の朝、宿屋まで来いよ。遅れたら俺の分の荷物を持ってもらうからな」
 そういって向き直り、すたすたと歩き出した。
「あ、はーい……」
 でもやっぱりユウリはユウリだ。私は絶対に明日早起きすることを誓った。



「ただいまー!」
 村の一角にあるけして大きくない一軒家、そこが私の生まれ育った家である。
 いきなりの帰宅に、ちょうどその時玄関の近くにいた2番目の妹が、玄関先に立っている私を見てしばし呆然としていた。
「み、み、ミオねーちゃん!?」
 我に返った妹は、ありったけの声量で私の名を呼んだ。
「ちょっとリア! そんな大声出したらご近所に迷惑じゃない」
「だって、ミオねーちゃん、『ユウシャ』って人と一緒に『マオウ』を倒しに行ったんじゃないの?!」
「うん、そう
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