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レーヴァティン
第百四十話 空の前哨戦その十一

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 その湖図の上に駒を置いていく、そうしてから彼は仲間達に言った。
「青が俺達の軍勢でな」
「赤が敵だ」
 芳直が応えた。
「そうなっている」
「そうだよな」
「見ての通りの布陣だ」
 芳直は湖の要所、浅瀬と浅瀬の間に布陣しているその赤い船達を細い棒で指し示しつつそのうえで久志に話した。
「完全にだ」
「浅瀬と浅瀬の間抑えてるな」
「そうしてだ」
「守りに徹してるな」
「そうしている、そしてだ」
 芳直は持っている棒を船団の後方に移した。船団はセビーリャの南東に布陣しているがそこは南西であった。
「ここだが」
「潮流が流れてるよな」
「それも幾つも入り組んでいる」
「そうなってるよな」
「しかも藻が多い場所もある」
「それもかよ」
「サルガッソーの様にな」
 芳直は舵やオールにその藻が絡まってきて船の移動を妨げる摩の海域と呼ばれている場所の話もした。
「絡まってくる」
「そこはここは」
「そうだ、ここだ」
 芳直は今度はセビーリャの真南を指し示して話した。
「ここがだ」
「藻の発生地帯でか」
「ここに入るとな」
「サルガッソーか」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「進めなくなり船を捨てるしかなくなる」
「難儀な話だな」
「つまりだ、敵は完全にだ」
「地の利、湖の利を生かしてだな」
「布陣している」
「そうなんだな」
「いい布陣だね」
 剛も言った。
「これは」
「そうだよな」
 久志は剛にも応えた。
「これは」
「まことにね」
「敵さんわかってるな」 
 久志はこうも言った。
「湖の戦、それもな」
「このあたりでの戦をね」
「熟知してるな」
「憎いまでに」
「そうだね」
「一見な」
 ここでだ、久志は。
 笑みを浮かべた、そうして言うのだった。
「そうだな」
「一見ね」
「俺達はな」
「突破というか」
 まさにというのだ。
「勝つ」
「それがな」
「出来るね」
「空船があって」
 先程の空戦で活躍したそれもというのだ。
「数もね」
「あってな」
「勝つ要素は揃ってる」
「それならな」
「勝つね」
「ああ、ただしな」
「ただし?」
「敵さん完全にな」
 まさにとだ、久志はその敵軍の布陣を見て言った。
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