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それも、悪くないかな

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 ああ、ツいてない。天気も良いし荷物は軽い方がいいから、と出掛けに放った折り畳み傘が今は恨めしかった。

「すげえ土砂降りだったな」
「びちゃびちゃ……タオル取ってくるね」
「わりぃ、頼むわ」

 脱衣所からお気に入りのふかふかなタオルを掴み取り、小さな池を敢えて踏みながら短い廊下を戻る。べったりと肌に張り付く髪や衣類が何とも気持ち悪い。

「寒ぃし風呂入ろうぜ。そこでデートの続きな」
「え」

 抵抗する隙は大して与えられず、寒さか羞恥かに震える身体を晒された。交代でシャワーを浴びている間に湯が溜まった狭い浴槽へどうにか浸かると安堵の吐息が揃う。

「静かだね」
「そうだな」

 耳を澄ませば、水面が揺れる音の奥に勢いを増しているであろう雨音が、遠く聞こえる。所々触れ合っている彼の体温と相まったそれが心地よくて、そっと瞼を下ろした。このまま溶けて一つになれたら、きっとあたたかく、しあわせなのかもしれない。




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