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渦巻く滄海 紅き空 【下】
三十二 蜘蛛の糸
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の言葉で少しでも気が紛らわせられたのだろう。
彼女の隣で、シカマルは少し安心したように小さく息を吐くのを視界の端に捉えながら、ヤマトはナルに説明した。

「簡単に言うと追跡用の発信機だよ」


木分身の応用術である【送信木】。
細胞を種子に変化させ、敵の服や靴等に仕込むことで追跡のマーカーとして扱える。一見、ただの種に見えるソレは、ヤマトのチャクラとだけ共鳴する忍具である。

実は、温泉宿で泊まった際、左近/右近と鬼童丸の服に、ヤマトは仕込んでおいたのだ。
温泉で、湯から先に上がったヤマトを思い出し、シカマルは「そういえば…」と眼を細める。
シカマルと話している彼らの眼を盗み、ダンゾウ率いる『根』から派遣された忍びということで、ヤマトは左近/右近、そして鬼童丸の服に、【送信木】の種を仕込んでおいたのである。

しかしながら、念のためにと仕込んでおいたソレが、まさか早々に使い物にならなくなるとはヤマトは予想していなかった。
遺体は動かない。死んだ右近/左近・鬼童丸の服に【送信木】を仕込んでおいても意味はない。


裏切者として殺された彼らの【送信木】を回収する前に、大蛇丸を追おうと促すヤマトに、ナルとシカマルは険しい表情で頷く。
だが直後、木分身からの連絡の内容を告げたヤマトの発言に、二人の表情は一変した。

ナルは驚愕で眼を見開き、シカマルは眉間に深く皺を寄せる。
そんな双方の表情の変化をよそに、ヤマトは何でもないように大蛇丸達の後を追う為、地面を蹴った。


先ほどの木分身からの連絡。それは『サイの遺体を発見した』というものだった。
























「追跡は止まったようね…いつもながら鮮やかな手際ね、カブト」
「お褒めに預かり、光栄です」

キラキラと反射する水面。
水を弾くように駆けながら、大蛇丸が背後のカブトに声をかける。

「尾行を撒くには、用心に越したことはないですから」と眼鏡をかけ直して、カブトはチラリと後方へ視線を投げた。
自分達を尾行していた人物の気配。木ノ葉の忍びらしき誰かの足取りは止まっているようだ、と確認すると、カブトは大蛇丸にお伺いを立てる。

「すみませんが、そこの水辺で得物の血を洗い流させてください。大蛇丸様」
「そういうのは帰ってからになさい」
「いえね…なるべくすぐに落としてしまわないと切れ味があっという間に落ちてしまうんですよ」

己の得物であるメスなどの医療道具。
先ほどの遺体にて汚れたので、手入れしたいとカブトはしれっと申し出る。
アジトに帰ってからすればいいものを、と大蛇丸は肩を竦めた。

水面に映る大蛇丸の横顔。
その表情は、カブトの言い分に対し、明らか
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