第二章
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「ですから」
「私がいいと言ってるのよ」
妻は強い手段で出た、それで彼を無理に自分の部屋に連れて行って部屋の戸を閉めてさあと言うが。
それでもユースフは毅然として彼女に言った。
「それはとんでもないことです」
「まだそう言うの」
「奥様は私の主のお一人でしかも他の方のものです」
それ故にというのだ。
「断じてです」
「まだそう言うの」
「何度でも申し上げます、私は絶対にです」
誘惑に従わないとだ、こう言って閉じられた部屋の扉を開けて去ろうとした。だが妻は追いユースフの服を後ろから掴んだ。
そうして無理にベッドに連れて行こうとするがやはりユースフが去ろうとする、それで引っ張り合いの形になったが。
こうした時は人よりも服が弱いものだ。それでユースフの服は背中のところが破れた、それを幸いにユースフは部屋から逃げたが妻はまだ追う、それでユースフは何とか家の玄関まで来たがここでだった。
主が帰って来た、そしてユースフの服が背中のところが破れているのを見てすぐに妻に対して言った。
「こら、幾らユースフが男前で養子にしたいと思っていても手を出しては駄目だぞ」
「そ、それは」
「これはわかるぞ、服を見ればな」
ユースフの破れているそれをというのだ。
「すぐにな」
「どうしてわかるんだい?」
「服の背中が破れている」
このことから言うのだった。
「それはユースフがお前の誘惑からお前が逃げてだ」
「それで私が掴んでっていうんだね」
「真面目なユースフはそれでも逃げた」
彼の性格もわかっての言葉だ。
「お前は追いすがって服を掴んで引っ張り合いになったな」
「まるで見てきた様にわかるんだね」
「それはわかる、服がの前が破れていたらユースフがお前を襲ったのだろうし」
それにというのだった。
「お前も今より遥かに取り乱しているだろう」
「そう言われると。襲われたら」
このことを想像するとだった、妻にしても。
「そうね」
「そうだな、だからな」
「わかるのね」
「そうだ、全く幾ら何でもユースフが美男子でもだ」
「手を出すなってことね」
「そうだ、以後気をつけろ」
夫は明るく笑ってこう言うだけだった、これはユースフの美男子ぶりを見れば仕方ないと思ったからだ。自分も若し女ならと想像しもしてだ。
だから妻を笑って許した、しかし彼が許しても世間は違った。こうした話は家族が言わなくても自然と噂になるものだ。
それで世間は妻がユースフを誘惑したことを噂し特に女達はあれこれと尾鰭まで付けてあれこれと噂話をした、すると妻は彼女達を家に呼ぶことにした。これはユースフと一緒に家で働いている女奴隷の提案だった。
「私もですよ」
「ユースフを見ていてだね」
「奥様と同じ気持ちになったことが
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