第一章
[2]次話
美男子過ぎて
預言者ユースフはふとしたことから彼がまだ子供の頃に奴隷になってしまった。だが彼を買ったエジプト人はその彼に只ならぬものを感じて妻に言った。
「この子には優しくするんだ」
「奴隷でもっていうのね」
「そうだ、何か特別なものを感じるからな」
その只ならぬものを妻にも話した。
「だからな」
「それでなのね」
「何かの役に立つかも知れないしな」
だからだというのだ。
「そしてな」
「そして?」
「場合によっては奴隷からわし等の子供にしよう」
つまり養子にしてもいいというのだ。
「その様にしてだ」
「大事にしていこうっていうのね」
「そうだ、いいな」
「そうね、何かこの子はね」
ユースフのその顔を見てだ、妻も頷いた。
「只ならぬものがね」
「確かにあるな」
「後々奴隷からね」
「偉大なことをしそうなな」
「そんな風に感じるわ」
「だったらな」
ユースフの主であるエジプト人は自分の妻にさらに言った。
「いいな」
「ええ、大事にしてね」
「養子にすることも考えていこう」
こう言ってユースフを奴隷であるがかなり大事にした、すると彼はすくすくと育ち驚く位の美男子になった。
浅黒い琥珀の様に輝く肌にきりっとした目鼻立ち、整った形の眉に麗しい黒髪にすらりとした長身と誰もがすれ違うと思わず振り返る位の美男子になった。それで妻もついついだった。
彼に対してよからぬ感情を抱いてしまった、それでついついだった。
ある日彼を自分の部屋に呼んだ、だが真面目で倫理観の強いユースフは彼女にそれはという顔で言った。
「奥様のお部屋に私一人で入るなぞ」
「駄目だというの?」
「それはよくないことです」
くこう言うのだった。
「ですから」
「私がいいと言っているのに?」
「はい、いけません」
ユースフははっきりと言った。
「それは」
「そう言うけれど」
「奥様がいいとですか」
「言っているのよ」
「ですが奥様は奥様です」
人妻であるというのだ。
「誤解される様なことがあってはなりません」
「相変わらず真面目なことを言うわね」
「それは絶対のことなので」
それで言うというのだ。
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