エピローグ
エピローグ
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
問題だからと言ってなにも話してくれなかった。その上、自分の責任は自分でとると言って、頑なに私が介入するのを拒んだ。それなら、私はもう無理矢理に聞くことはない。
だけど、相当大変だったのはアオイを見ていてわかった。毎日顔を合わせていれば、疲れた顔をしていることくらいすぐに気が付く。そういうこともあって、少し気になる部分もあるけど……これについては、私は知らない方がいいのだろう。
それともう一つ。私は時期を見計らって、今回盗まれたネックレスについて、両親に詰め寄ってみた。怪盗キッドから聞いた宝石の名前を口に出すと、彼らは観念したのか、父が色々話してくれた。
「ツグミのおじいちゃん??私の父は、鉱石採掘をする人だったんだ。その中で見つけたフィルルージュという宝石を、父が母にプレゼントしたのが始まりだった」
おじいちゃんは、鉱石採掘の途中でたまたま発見したピンクの宝石を、おばあちゃんにプレゼントしたらしい。
それは相当高価なもので、今までに見ない美しい宝石だった。売ればかなりの額になると言われていた。
趣味である鉱石採掘での思わぬ成果に嬉しくなったおじいちゃんは、すごい宝石を見つけたとたくさんの人に自慢話をした。
その結果、たちまち多くの人にその存在と在処を知らせることになったのだった。そしてそのおかげで、その宝石を狙う人がたくさん出てきてしまった。
おじいちゃんはその宝石を死ぬ気で守ろうとするし、おばあちゃんはおばあちゃんで、好きな人にもらった大切な宝石だという理由で、絶対に渡したくなかったという。
「母は、気が抜けない状況にうんざりしてきてしまったらしい。ある日父の目の前で、その宝石を叩き割ったんだよ」
「ええ! 叩き割った!?」
驚き大きな声をあげた私を見て、お父さんは苦笑しながら頷いた。
なるほど……だから怪盗キッドは、おばあちゃんのことを「大胆な方」と言ったのか。確かに大胆……というより、破天荒すぎる気がするけど。
「実はその割れたカケラは、ツグミが持っているものの他にも、うちの地下に保管されている。怪盗キッドにもこの前まで盗られていたんだ」
「嘘! 全然知らなかった……」
私のネックレスと共に盗まれた宝石のカケラたちは、二度目の予告状が来た日に、いつのまにかこの地下に戻されていたらしい。
一度目も二度目も、怪盗キッドは私と接触した以外にも、抜け目なく仕事を果たしていたということになる。
どこにそんな暇があったのか、本当に教えてほしい。怪盗キッドには、何重にも渡って驚かされてしまった。
そのあと、お父さんは私を地下に連れて行ってくれた。
宝石は、物置になっていた部屋の中に保管されているらしく、普段滅多に開けない鍵のかかった部屋を開けてくれた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ