本編
本編9
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。まだ少し顔が赤い。
「俺……ツグミの気持ち、勝手に決めつけてた。本当にごめん」
「え、えっと……」
「俺の気持ちは、ツグミには迷惑なものだと決めつけてたんだ。ごめん」
「……ううん。私もごめんね」
私に頭を下げるアオイに、私は顔を上げるよう促した。アオイだけのせいじゃない。はっきり言わなかった私も悪い。
「俺も、ツグミが好きだ。ずっと……一緒にいてほしい」
そう言ったアオイは、真っ直ぐに私の目を見つめていた。私の気持ちはもうわかっているはずなのに、ものすごく緊張しているようだった。
私はニコリと微笑むと、持っていたネックレスをアオイの前に差し出す。
「これ、今日返してもらったの。つけてくれないかな」
差し出されたものを見ると、アオイは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにそれを受け取った。
私はアオイに背中を向けて、付けるように促す。アオイは私の首にネックレスをあてがうと、素早くつけてくれた。
つけ終わったことを確認して、アオイの方を振り返る。目が合うと、アオイは私を見て照れたようにはにかんだ。
「おそろいだな」
その言葉を聞いて、私も釣られて微笑んだ。アオイの首元にも全く同じネックレスが光っている。
ずっとつけていてくれてたんだと、今更ながらに気づいた。
この二つのネックレスは、私にとって、二人を繋ぐ赤い糸のように思えた。
「あ、ツグミ。そういえばさ」
「なに?」
バルコニーを出ようとしたとき、アオイがふと思い出したように口を開いた。なにか考え込むような表情のアオイに、私は不思議に思いつつ首を傾げる。
「怪盗キッドって……めちゃくちゃかっこいいよな?」
「そうだよね!?」
怪盗キッドは、私の心は盗めなかったと言ったけど、そうではない。私の心と、そしてアオイの心までをも、しっかりと盗んでしまったのだった。
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