第二章
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「そうするわ」
「はいはい、じゃあね」
「岸田君に余ったのあげなさいね」
「手作りの余りね」
「そうしなさいね」
「お菓子作りなら」
肝心のこのこと自体についてもだ、真帆は言った。
「小学生の時からやってるしね」
「あんたお料理好きだしね」
「それで得意だし」
「部活も料理部だし」
「お菓子が一番得意よね」
「クッキーが一番好きだけれど」
それでもとだ、真帆はさらに言った。
「作るには。それで得意だけれど」
「チョコもよね」
「これまで作ったきたわよね」
「そうよね」
「何度もね。じゃあお家に帰ったら作るわ」
そうすることも決めた、そして。
真帆はここでついついだ、こんなことも言った。
「あいつの作って。余ったのをパパとお兄ちゃんと祐樹にあげて」
「祐樹って誰?」
「今急に名前出たけれど」
「誰なの?」
「弟よ」
先程話に出た彼だというのだ。
「弟いるって言ったじゃない」
「ああ、そうなの」
「急に名前出て来たから誰かって思ったけれど」
「弟さんなの」
「中学生なの、中等部に通ってるわ」
自分達が通っている八条学園のそこにというのだ。
「お兄ちゃんは八条大学でね」
「三人同じ学園にいるのね」
「兄妹で」
「そうなってるのね」
「あいつにあげて」
もうそれが誰かは誰も今は突っ込まなかった。
「パパとお兄ちゃんにあげたら」
「弟さんにもなのね」
「あげないと駄目っていうのね」
「ちゃんと」
「公平じゃないと駄目だから」
真帆はその泣きそうな感じの垂れ目で言った、眉の形も泣きそうなもので何処か小動物的な印象を周りに与える。しかも小柄だから余計にだ。その顔で言うのだ。
「だからね」
「そこお姉ちゃんね」
「真帆ちゃんって実は優しいお姉ちゃんなのね」
「そうなのね」
「だって大事な弟だから」
家族については素直だった。
「ママもいるけれどお姉ちゃんとしてね」
「言い切ったわね」
「やっぱりいいお姉ちゃんね」
「優しいお姉ちゃんかしら」
「悪いことしたら怒るわよ」
その時はというのだ。
「けれど弟だから」
「大事にしてるのね」
「そのことは変わらないのね」
「そうなのね」
「だからあの子にもあげるわ」
こう言ってだ、そのうえでだった。
真帆はバレンタインどうするか決めた、そしてだった。
バレンタイン前日に部活が終わるとすぐにだった。
家に帰って夕食と入浴を終えて家のキッチンに入った、もうチョコレート等食材は事前に買って揃えていた。
自分のピンクのエプロンを着けた娘にだ、背は娘より二センチ位高いが顔も髪の毛もよく似ている母が言ってきた。
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