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ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
アインクラッド編
軍の壊滅
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いて帰るか・・・・」

大きめの独り言を呟きながら、キリトは街までの道を歩み始めた。



第26層の迷宮区に最も近い街〈ラングール〉に入り、圏内に保護されるという状況になってようやくキリトは緊張の糸を解いた。
お腹がぐうぐうと鳴りそうなほどに減っているが、取り敢えず宿屋に戻ってから夕飯にしよう、と決めて歩を進める。

小さな街であるが、キリトはこの街をかなり気に入っている。
ショップ、武器屋も街の大きさの割には豊富であり、街の大通りでは、夕飯時のこの時間でも賑やかな喧噪が場を包み込んでいる。楽しげな笑い声、商談の交渉をしている音がキリトの耳に届く。
その大通りの橋の下には、澄んだ水の流れる小川がある。
〈水〉を基調としてあるこの町には、数多くの噴水や、河川がある。
建物はコンクリート造りのシンプルなものが多いが、穏やかな水の流れと雰囲気がマッチしている。いかにも西洋的街作りだ。

転移門までの距離も遠くないので、キリトはこの街にねぐらを構えるのも悪くないと思っていたが、売りに出ている部屋の値段の桁数を数えて、そそくさと退散してしまった。
この世界で家を買うのには、笑えないくらいの大金が必要なのだ。

後ろ髪引かれる思いながらも、せめて、この街の宿屋を満喫しようと考えを改め、いつもより奮発して、少しお高い宿屋に泊まるくらいは許されることであろう。
この街では最高級に値する自身の宿屋へと、先ほどまでより足取りの軽くなった様子で向かっていたキリトに、

「よう! キリトじゃねーか!」

と、後ろから大きな声が掛けられる。
声の主が分かっていたキリトは、振り向きながら返事をする。

「久しぶりだな、クライン」

そこに立っていたのはやはりキリトの予想通りの人物、クライン。
無精ひげを生やし、微妙なセンスのバンダナを巻いた頭は髪の毛をつんつんと逆立てている。
侍を思わせる防具に、腰には1本の剣、否、刀が吊ってある。
最近、曲刀カテゴリの武器を根気よく使っていれば、入手可能であると判明されたエクストラスキルの1つ、〈刀スキル〉専用の武器だ。
野武士面と装備が似合っているので違和感を覚えない。

キリトと同じく攻略帰りなのだろう、クライン率いる〈風林火山〉のメンバーが後ろに控えている。

「今からおめぇも飯食いに行くんだろ、一緒にどうだ?」

クラインがキリトを夕飯に誘うと、クラインの後ろのギルドメンバーが、「ずるいっすよ、リーダーだけこんな可愛い女の子とお喋りして!」だの「その野武士面じゃあ、絶対に落とせないっすよー」などと騒いでいる。

その光景を見て、溜息をつきたくなる。

悪の〈ビーター〉として、女であることを隠し続けることを第1層ボス攻略後覚悟していたキリトだが、あれから半年以
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