第一章
[2]次話
イタリアで出会った日本人達
オットー=クライストはこの時うきうきとしていた、それで職場である駅でも後輩にこう尋ねられた。
「先輩機嫌いいですね」
「ああ、そう見えるか」
クライストはその後輩に笑顔で応えた。
「やっぱりな」
「やっぱりっていいますと」
「実際に機嫌いいよ」
自分でもこのことを認めた。
「今の僕はね」
「彼女さん出来ましたか」
「いないよ」
それは違うというのだ。
「まだ少しいいかな」
「じゃあ美味しいお店を見付けた」
「いいパブは見付けたけれど」
それでもとだ、彼はまた答えた。
「別にね」
「そこまではですか」
「嬉しいと思っていないよ」
「今上機嫌なのは他の理由ですか」
「そうだよ」
「じゃあいい風俗店を見付けた」
「コメントしないよ」
今のそれにはというのだ。
「そうしたことについてはね」
「まあそうですよね」
「うん、この駅には女性もいるんだ」
「だからですね」
「そうした質問にはね」
どうしてもというのだ。
「悪いけれどね」
「そうですね、けれど内緒で」
「見付けてないよ」
クライストは小声で答えた。
「ましてや法律に反するお店にはね」
「先輩行かれないですね」
「そういうことで捕まったら洒落になってないから」
それだけにというのだ。
「そうしたお店にはね」
「そうですよね」
「そうだよ、けれどね」
クライストは後輩にあらためて話した。
「僕が上機嫌なのは旅行に行くからだよ」
「もうすぐですか」
「有給取ってるからね」
「そういえばそうでしたね」
「うん、有給取って」
それでというのだ。
「イタリアに行って来るよ」
「それはいいことですね」
「イタリアに行って」
そしてというのだ。
「青空と色々な景色と」
「イタリア料理ですね」
「全部楽しんでくるよ」
「それはいいことですね」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「イタリアを満喫してくるよ」
「そうされるから」
「今から楽しみでね」
「上機嫌ですね」
「何ていうか」
クライストはさらに言った。
「ドイツ人にとっては」
「イタリアは、ですね」
「もう何時でもいたい」
「そんな国ですよね」
「ドイツは冬が長くて」
クライストは今度は自国の話をした。
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