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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
061話 文化祭編・開催2日目(08) 衛宮家族
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手前の状態で俺は切嗣の首に手をかけていた。
だが切嗣は動じた風もなくさっきまでしていた薄気味悪い表情を解き、優しい顔になった。

「かまをかけてみたが、思った以上の効果があったみたいだね。大丈夫、そんな人を売ることはしないさ“士郎”」
「あっ…!」
「最初はただの偶然だと思った。しかしイリヤまで現れたとあっては偶然で済ますにしては些かおかしい。
それで友人の研究のことを思い出した。それでもしかしたらと思ってね…大丈夫。アイリ達はこの事を知らない」
「切、嗣…」
「確信したから言わせてもらうよ。君とイリヤちゃんは平行世界の僕らの子供だね?」
「あなたはたいした人だよ。ああ、正確には俺は養子だったが…確かにそうだった」
「そうか…やっぱりね。どうしてこの世界に来た、とかは聞いちゃいけないのかな?」
「できれば…」
「分かった。これ以上は何も聞かないよ。…しかし将来士郎はこんな好青年になるのか」
「安心してくれ。この褐色の肌と白髪はある魔法の副作用だ。だからあの小僧はなる心配はないだろう」
「そうか。それじゃそろそろ戻ろうか。アイリ達が待っているから」
「待ってくれ…」
「ん? なんだい士郎?」
「もうばれてしまったのだから言わせてもらう。たとえ平行世界とはいえ会えて嬉しかったよ………“親父”。」
「それはよかった」


◆◇―――――――――◇◆


それから他人の振りをしながらも俺達は別れた。
その代わり連絡先やらを貰えたのはよかったと思っている。

「ねぇシロウ、キリツグとの会話、少し聞いちゃった…」
「そうか」

姉さんが俺の肩にもたれかかりながらそう言ってきた。

「私たちのキリツグもちゃんと私達の事を考えてくれていたかな…?」
「きっと考えてくれていたさ」
「そうだね…」

―――そうだぜ。

「「!?」」

気づくと背後には屋台のものを食べているランサーが立っていた。

「よっ」
「よっ、じゃないわよ! いつからいたのランサー!?」
「おいおい、ひでぇなマスター。離れてはいたが近くにいたぜ。ま、店にいたから分かんなかっただろうが…。
ところで言わせてもらうが子を大事に思わない親なんていねぇと思うぜ?」
「わかっているわよ…」
「しっかしこっちの世界の士郎達か。あのアーチャーのマスターのお嬢ちゃんには感謝しなきゃな!」
「そうだな。ラインをこの世界に繋いでもらわなければ俺達は何かしら世界の修正を受けていただろうからな」
「ランサーもそうね」
「なんでだ?」
「なんで、ってコトミネがこの世界に来たのはリンのうっかりが原因なんだから」
「あー…確かにそうだな。でもなきゃ今頃まだあの野郎の手足として使われていただろうからな」
「そういうことよ」


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