第二部
第一章 〜暗雲〜
八十九 〜暴かれる真相〜
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い」
だが、その顔は沈んでいる。
「ともかく、話が先だ。お前の話が最も正確であろう」
明命は頷くと、皆を見回す。
「零陵郡に入ってすぐ、私達は賊の襲撃を受けました。それも、多方向からです」
「それは妙ではないか? 賊の大半はこの長沙で討ち取った筈ではないか」
「仰せの通りです、趙雲さん。襲撃してきたのは、いずれも小勢でした」
「じゃあ、孫堅おばちゃんなら問題ないのだ。軽くぶっ飛ばせば終わりなのだ」
「……いえ。周泰殿、賊は小勢ながら執拗に襲ってきたのではありませんか?」
「その通りです、郭嘉さん。でも、どうしてそれをご存じなのですか?」
「少し考えればわかりますよー。孫堅さんに本気で挑むつもりなら、手勢を小分けにしても各個撃破されるだけなのに、態々そうしてくれと言わんばかりじゃないですか」
「風の申す通りであろう、明命。そして、睡蓮の我慢が限界を超えて、自ら賊を追っていったのであろう?」
「あうあう、歳三さまもお見通しでしたか。……はい」
後は、想像に難くない。
誘いの手に乗ってしまい、待ち受ける罠にかかってしまった……そんなところか。
「だが明命。睡蓮殿の側には祭殿や飛燕(太史慈)、それにお前もいたのではないか?」
「はい、星さん。ですが、賊の襲撃が重なり、祭さまも飛燕さまもそれに追われてしまっていたのです。私も、睡蓮さまと離れてしまっていたので……」
一見、睡蓮が猪故の出来事……とも見える。
だが……。
「禀。腑に落ちぬのだが、どうか?」
「同感です。孫堅殿は勘も鋭く、また戦慣れしておられます。このぐらいで討ち死にというのも妙な話です」
「風もそう思いますねー。それに、賊さんの襲撃を聞く限り、誰か指揮者がいると思うのですよ」
「しかし、殿。区星なる者、そこまで将としての素養があるという話は聞いていませぬ」
「他に名のある将がいるとも思えぬ。だが、ご主人様が仰せの事もご尤も……」
不意に、全員の視線が蔡和に集まる。
「歳三様。もしや?」
「察しがいいな、紫苑。睡蓮が事、やはり蔡瑁が裏にいる」
「……案の定ですね」
「はいー。それなら全て、説明がつきますからね」
頷く禀と風。
「では蔡和。睡蓮を亡き者にした、直接の下手人の名を教えて貰おうか」
「…………」
「黙りか」
私は兵らに合図し、部屋の隅にあった桶を、蔡和の前へと運ばせた。
蓋を取ると、部屋に異臭が立ちこめる。
「臭いのだ!」
「殿。……この臭い、まさか」
「蔡和。それが何だか、お前にはわかるな?」
桶の中を覗き込んだ途端、蔡和は驚きで飛び上がった。
「こ、こ、こ、これは……」
「お前の手下共だ。よもや、見覚えがないとは申さぬであろうな?」
「あわわわわ……」
驚愕で身を震わせる蔡和。
皆は
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