040話 悪魔襲来(前編)
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いた。
しかし、俺の思考は貫かれた悪魔達より、飛来してきた黒鍵のほうに向かれていた。
そして頭がいきなり警戒を鳴らし始める。
不快感がいっそう高まる…そこで俺は、この不快感にはなぜか覚えがあると直感した。
気づいた時には貫かれて判別不可能な悲鳴を上げている二体の悪魔の後ろにさらにもう一体顔まで隠す黒衣の格好をした奴がいた。
そいつはゆっくりと悪魔達に刺さっている黒鍵を握ってさらにぐりぐりと捻じ込むように動かす。
それによって悪魔達はまた悲鳴を上げる。それはもう殺してくれといっているような、そんな叫び。
「い、いや…!」
「貴様、やめろ! 彼らは貴様の仲間ではないのか!?」
「仲間…? ふむ、私も確かに悪魔だが彼らを仲間と思ったことは一度もない…」
「な、に…? どういうことだ…」
「簡単なことだよ、衛宮士郎…」
俺の名をいったそいつの足元から突如として黒い泥のような沼が出現し串刺しのままの悪魔を泥に飲み込んでいく。
その泥を見て俺は、いや姉さんも目を疑っていた。
「彼らは私の魔力の糧なだけだ。友などという生ぬるい感情は持ちようなどあるまい?」
「なぜ、貴様がその泥を使える…?」
俺は思考がこんな時だというのに少しフリーズしている。
そしてそいつは嘲笑うかのように笑い出し、
「まだ気づかないか、衛宮士郎?…いや、気づかないふりをしているといった方が正しいかね?」
「なにを、言っている…? 貴様は何者だ…」
自分でも今の言葉に覇気がないことを自覚できる。それほどに今俺は動揺している。
「ならばもっと馴染みの言葉を言えば気がつくか? なぁ、エミヤの後継に聖杯の少女よ」
そいつはそんなことをのたまった。
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