038話 士郎の聖杯戦争…
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ず悲鳴を上げそうになった。
だが、それは私以上に体を震わせているお嬢様が一緒に手を繋いでくれているおかげでなんとか耐える事が出来た。
…しかし、士郎さんの過去がこのような始まりだったなんて…
そして大火災の中、一人だけ生き残り代わりに自分の名前以外、記憶と感情を壊されてしまい衛宮切嗣という人物に救われなければ恐らく生きていけなかっただろうと私は思う。
それから切嗣さんの養子になりそこで魔術のことを知った士郎さんは必死に教えてほしいと言っている。
…きっとあのような悲劇を起こしたくないからだったのでしょう。
それから時が進み5年後のある月夜の晩の光景が映し出された。
きっと切嗣さんは死期を悟ったのでしょう。まだ子供の士郎さんに最後に自分の思いを語りだした。
「……僕はね、正義の味方を目指していたんだよ」
「なんだよ? 目指してったってことはもうあきらめちまったのか?」
「ははは、正義の味方には年齢制限があってね……もう大人の僕はなれないんだよ」
「そっか……うん。それじゃしょうがないから俺が代わりに正義の味方になってやるよ。爺さんは大人だからもう無理だけど俺なら大丈夫だろ?」
士郎さんは一度言葉を切って、
「まかせろって、爺さんの夢は俺がちゃんと形にしてやるから!」
「……ああ、安心した」
切嗣さんはその言葉を最後に逝った。
士郎さんはもう動かない切嗣さんを何度も揺すっていたがいずれ悟ったような顔になってそれきり黙りこんでいた。
気づくと一緒に見ていたイリヤさんも私達同様に涙を流していた。
だけど、その表情はどこか違うものを感じさせてくれた。
そして士郎さんは上達しない魔術を何度も死にそうになりながらも訓練して年月は過ぎて高校二年の冬になったとき、それは訪れた。
七人の魔術師と七騎の英霊という上級の使い魔による聖杯をめぐる戦い……聖杯戦争に。
ただ魔術が使えるというだけで浮き上がった令呪という代物と夜の校舎で起こっていた二体の英霊の戦い…
その戦いはおそらく私の目でも知覚は難しいほど壮絶でつい見入ってしまった。
だけど、そこで気づいた。
青い姿の英霊はともかく赤い英霊の姿は今の士郎さんそのものだということに。
◇
「おい、士郎。あの赤い奴はなんだ…?」
《………》
◇
エヴァンジェリンさんが士郎さんに問いただしているが士郎さんからの返事は返ってこなかった。
代わりにイリヤさんがそれに答えた。
◇
「あの英霊はシロウであって、シロウではない存在よ」
「なんだ、それは? ……いや、なんとなく予想がついた。やつは…」
《エヴァ…今はまだ》
「…そうか」
◇
お互い納得したようだがまだ私とお嬢様は理解が出
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