第7話 飲み会
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タクシーに乗り込んだ。まあ、しょうがない、せっかく来たんだし、残っている友人と話そう。そう思い麻子さんに席を尋ねると、先ほどよりもさらに申し訳なさそうに口を開いた。
「あー...席はその、奥の個室なんだが...。一緒に来てた五十鈴さんは急な用事で、秋山さんは沙織よりもさらに早く潰れてしまってな。今部屋には河野さんって子しかいないんだ」
「河野さん...? あー沙織さんがいってた紹介したい人?」
「そうだ。だが状況が状況だしな..もうこのまま解散の方が...いやしかし来てもらって早々申し訳ないし...」
「全然大丈夫だよ!その子一人なんでしょ、挨拶がてらちょっとお話しして帰るから気にしないで!」
「そ、そうか...流石だな西住さんは。...ありがとう。じゃあすまんが行かせてもらう。...またいつか飲もうな」
走り出したタクシーを見送って、ふっとため息をつく。
「『またいつか』か...そうだよね。次いつ会えるかわからないしね」
高校の頃の『また明日』から『またいつか』に変わった彼女の最後の言葉はやけに遠く感じ、一人になった自分を余計に寂しくさせた。それを紛らわすように店内に入り、先ほど教えてもらった席の襖を開ける。中を覗くとビクッと驚いた男の子がこちらを見ていた。
「え、えっと...あなたが河野さん?」
「は、はい! よろしくお願いします!西住さんですよね!」
「え...あ、うん!よ、よろしくね...」
予想外、まさかの男の子。大学に一人だけ男子が入ったと聞いていたが、まさかその一人じゃないだろうとタカをくくっていたのだが....。絶句して立ち尽くしていた私を見て悟ったのか、男の子が話を始めた。
「驚きますよね...戦車道の名門大学に男なんて...」
「...ううん! 違う違う! 単に沙織さんが会いたがっているって言うからてっきり女の子がと思って!」
必死に否定して、急いで対面に座る。うん、何回見てもやっぱり男の子だ。
「あ、ああ...。なるほど、そうですよね。男なんて僕一人ですし」
「あーいやえっと...そうじゃなくてね...あんまり私自身男の子と交友なくてその...」
「あ、そうなんですね、実は俺も女の子とはほとんど...あはは」
「えっと...ご出身は...?」
気まずい。あまり仲良くない人と電車乗り合わせた時のようなギクシャクした会話。そんな当たり障りのない話題がいつまでも続くわけもなくしばらくして料理を頼み始めた。それと一緒にカクテルのお酒を頼んでいたので私も、と同じのを頼んだ。だが不思議と彼からは目を離せなかった。
「...お酒強いんだね。みんな酔ってるのに一人だけピンピンしてるみたい
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