暁 〜小説投稿サイト〜
その日、全てが始まった
第1章:出会い
第06話 『その時まで』
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夜は今何の曲を弾いてたの?」
「これは???」

 リサがそんな事を、洸夜へと問いかけた。
 洸夜は答えようとしたが、その言葉は遮られた。
 変わりに言葉を発したのは、紗夜だった。

「『 Empty Heart』ですね」
「えんぷてぃー……はーと?」

 紗夜の回答に、リサは首を傾げるのだった。
 それと同時に、燐子が言葉を発した。

「確か……その曲って……」
「ええ。白金さんが考えている通り『Echo』の曲です」
「『Echo』?」

 今度は洸夜が首を傾げた。

「誰なんだそれ」
「聞いた事があるわ。確か、正体が謎に包まれたソロギターリストだとか」
「ええ。その通りです」
「何でそんなに詳しいんだよ」

 洸夜は紗夜へそう問いかけた。
 対する紗夜はこう答えるのであった。

「あの人のライブに何度か行ったことがあるのよ」
「それで見たことがある、と?」

 洸夜の言葉に、紗夜は頷くのだった。
 そこへ、あこが口を挟む。

「あこもその人の演奏、動画ですけど見たことあります!」
「私も……あこちゃんと一緒に……見ました」

 あこに続いて燐子も、そんなことを言うのだった。

「え、知らないの俺だけ……」
「アタシも聞いたことないな……」
「リサも知らないのか……」
「うん……」

 リサの言葉を聞いた洸夜は、内心ホッとするのだった。
 だが、そんな彼に予想外の言葉がかけられる。

「コウ兄の演奏って、Echoさんの演奏に似てましたよね」
「そう言われてみれば……確かに似てますね……」
「……マジで?」

 あこと紗夜の言葉に、洸夜は怪訝な表情をした。

「俺、そのEchoって人に会ったことは愚か、見たことすらないんだけど」
「……見たことないのに、弾き方が似てるってことだよね?」

 そう言ったリサは首を傾げた。

「そうなりますね」
「なんか……不思議……ですね」

 紗夜と燐子の言葉を聞いた洸夜は、若干俯いた。
 そして、誰にとなく小声で呟いた。

「俺がEchoに似てる……か」
「コウ兄、どうかしたの?」

 俯く洸夜の顔を覗き込むようにしてあこがそう尋ねてきた。
 対する洸夜は、突然事に動揺しつつも、すぐに返答した。

「あ、ああ。少し考え事してただけさ」
「そっか」

 そこへ、燐子からの問い掛けが入ってくる。

「そう言えば……洸夜君は……どうしてこの曲を知ってるんですか……」
「それは私も気になるわね」

 燐子の言葉に、友希那も同じ疑問を抱いたらしい。
 そこへ、補足の様に紗夜の言葉も飛んでくる。

「確かに。見たことすらないのに何故知ってるの?」

 それは???と言って、
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