第1章:出会い
第06話 『その時まで』
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の後の片付けなら私がやっておくから気にしないでね」
まりなは洸夜に対して、笑顔でそう言うのだった。
「そうですか。なら、またお言葉に甘えさせていただきます」
「うん。じゃあ、また宜しくね」
「はい」
そう返した洸夜は、再びスタジオへと入る。
「お待たせ」
「遅かったわね」
「着替えてたからさ」
そういった洸夜の服は、先程のバイトの制服とは違い、黒い学生服のズボンに白のワイシャツで、手には黒の学ランを抱えていた。
「洸夜の学校って学ランなんだ」
「ああ。ただ人気なくてなぁ……。全校生徒からブレザーに変えろっていわれてる」
「洸夜は学ランの方が似合うと思うけどね☆」
「……そうか」
そういった洸夜は、背負っていた鞄と学ランを隅に置くと、友希那達の側へと向かう。
「で、俺は何をすれば良いんだ?」
「そうね……」
「特に決まってないのなら、ギターを弾いてもらっては?」
考える友希那に、そう告げたのは紗夜だった。
「ギター……か」
「え、コウ兄ってギター弾けるの?」
あこの問いかけに、洸夜は頷いた。
「ああ。というか、キーボードよりギターとかベースの方が得意だと思う。実際、ライブ直前に始めてキーボード触ったぐらいだし」
「え、そうだったの?!」
「それまではピアノぐらいだったからな。あ、紗夜。ギター貸して」
洸夜に頼まれた紗夜は、自身の持っていたギターを洸夜へと手渡した。
それを受け取った洸夜は、軽く演奏の構えをとる。
そして、ピックを握った手を弦にかける。
「……一曲ソロで弾かせてくれないか?」
「構わないわ」
友希那の了承を得た洸夜は、ピックを持つ手を走らせ始めた。
鳴り響き始めた音色は、ゆっくりとした旋律を奏でた後、疾走感を得た旋律へと変わっていく。
洸夜は時折、目を閉じたりしながら演奏へと集中を傾けていく。
同様に傍で見守る5人も、洸夜の奏でる旋律に魅入っていた。
そして、曲は終盤へと差し掛かり激しさを増していく。
恐らく、普通に弾く分には難無くこなせるものなのだろうが、現状洸夜が奏でている曲はテンポが早いため、難易度が高くなっている。
だが、洸夜はその部分を難無くクリアし、最後まで演奏しきるのであった。
「……ふぅ。こんなもんかな」
「コウ兄凄い!」
演奏を終えた洸夜に、あこからの歓声が飛んで来る。
「流石ね」
「うん! この前聞いた時も言ったけど、洸夜の演奏は人を惹きつけるよね」
「買い被り過ぎだって」
「そんなことないわ。貴方はそれだけの力を持っている」
友希那にそう言われた洸夜は、左手で後頭部を掻くのだった。
「そいつはどうも」
「ところで、洸
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