031話 行動を開始した二人の異邦人(前編)
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になった。
これで等価交換も成立したも同然ね。
そして修学旅行の翌日に午前中から私はエヴァの家に来ていた。
「それでその魔術回路とはどういったものなのだ?」
「そうね。魔術回路って言うのは魔術師が体内に持つ擬似神経のことで生命力を魔力に変換する路でもあるの…」
それから私はエヴァに初歩中の初歩だけどこちらの世界では誰も知らない知識だから丁寧にじっくりと教えていった。
でもさすが真祖というべきか、それとも600年も生きているので記憶量がすごいのかエヴァはメモもとらずに教えたことはすぐに覚えていった。
一応、茶々丸が隣で会話を記録しているようだけどこの様子なら大丈夫ね。
「なるほど…つまり魔術回路とは肉体ではなく魂にあり、回路の本数も先天的に決まっているというわけか」
「そう。それで一つ聞きたいんだけどエヴァって真祖なのは先天的? それとも後天的…? 別に理由は話さなくていいから教えてほしいわ」
「あまり他人に話したくはないが後者だ…」
「そう…。それじゃきっとエヴァの回路の数はかなりあると思うわね。私達の世界でも研究を続けるために自ら死徒に身を落とす魔術師がいて、それによって大抵のケースでは魔力が増大したパターンが多いから」
「前にも思ったのだがお前達の世界は馬鹿の集まりなのか? 自ら吸血鬼になるなど正気の沙汰ではないぞ?」
「それを言われちゃうと見も蓋もないんだけれど…「 」を目指そうとするには人間の寿命ではどうしてもたどり着くことは出来ない。だから死徒になって研究を続けるものが後を絶えないのがあちらの現状ね。…大抵のものは代行者に狩られてしまうものがほとんどだけどね」
「そうか。しかしお前達の世界の魔術師は愚かではあるが、こちらのぬるま湯に浸かっている魔法使い共よりは根性はありそうだな。人間のままで死を迎える前に一族に研究成果を魔術刻印という形に残すというところも賛歌できるしな」
「そうなのかな? ま、こんなうんちくはいいとしてそろそろ本題に入るとしましょうか」
「そうだな」
私はある袋から一つの宝石を取り出した。トウコにもらったのはいいんだけど今のところ使いどころはなかったからちょうどいいので回路を開くのに使わせてもらおう。
そこにエヴァはなぜ宝石を使うのか? と尋ねてきた。
「今からこの宝石を使ってエヴァの魔術回路を開こうと思うのよ。てっとり早く私の魔力をエヴァに流して強制的に眠っている回路を叩き起こすという方法もあるけど…痛いのは嫌でしょ? 他人の魔力は劇薬や毒にもなるから」
「私をなめるなよ? それくらい耐え切ってみせるさ」
「そう。それじゃあとで文句を言ってきても私は聞かないからね?」
エヴァの胸に手を伸ばして私は魔術回路を起動した。
「あ、一ついい忘れていたんだけれど?」
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