020話 刹那の告白、そして…
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は恐れや畏怖といったものではなく、ただ一点の怒りだと悟ったのは軽く頬を叩かれた後だった。
「刹那……一つ、言わせてもらう。刹那は自分のことを化け物といっているがそれは見当違いも甚だしいぞ?」
「なっ! それはどういう!?」
反論しようとしたが士郎さんの普段全然見せないそれは鋭い眼光で体が硬直してしまい黙殺されてしまった。
「聞け。化け物というのはな、姿、形、外見的に異常なやつのことをいうんじゃない。
そもそも本当の化け物というのは外見ではなくただ人を襲う、犯す、殺すことしか考えていないやつらのことを言うんだ。
その点、刹那はしっかりとたとえ偽りだとしても人とともに生きている。このかのことも本当に大事だと思っている」
「ですが私は人間と烏族のハーフでどちらにも依存できないんです……!」
「それがどうした? そんなのは些細な違いではないか。居場所がなければ自分から作る努力をするものだ。このかは刹那のその姿を見てもきっと恐れず受け入れてくれると俺は思う。姉さんやネギ君、アスナもそうだ」
衝撃だった。士郎さんは私のことを受け入れてくれるだけでなく私が化け物ではないと否定さえしてくれた。
嬉しかった。だがそれと同時に悔しかった。どうしてもっと早く士郎さんという素晴らしい方と出会えなかったのかと。
「ですが、やはり私にはお嬢様の隣を歩ける自身がありません」
「……そうか。だが前にも言ったが関係はまだやり直せる。この修学旅行がいい機会かもしれない。だから後は刹那のこのかに話しかけるという勇気の問題になってくるんだ」
「話しかける勇気……」
「そうだ。そうすればわざわざ影からではなく隣で守ることもできる」
「それは、なんて素晴らしい夢でしょうか。お嬢様とともに過ごせることができるなんて」
「夢という言葉で片付けるな。勇気を持ってその一歩を踏み出せば実現できるんだ。それだけは覚えておいてくれ」
「はい、はい!」
私は士郎さんのその言葉に感謝の意を込めて、いつかお嬢様と正面きって話ができたらいいなと想いながら涙を流した。
それから少し晴れやかな気持ちになり修学旅行では必ずお嬢様を守ることを決意した。
だが、それを士郎さんの嬉しそうな顔で見られてしまい恥ずかしかったのは胸の内にしまっておくことにした。
……こんなもやもやした感情は私にはなんなのかわからないから。
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