第百三十七話 肝その四
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「見事だったぜよ」
「薩摩隼人ならです」
長兄がここで当季に答える形で述べた。
「それならです」
「最後の最後までじゃのう」
「戦い続ける」
「そうした考えだからじゃな」
「心から従える相手でなければ」
それこそというのだ。
「従わないですから」
「それでじゃな」
「これまで戦ってきて」
そしてというのだ。
「この鹿児島でもです」
「そうするつもりだったんじゃな」
「そうでした」
従えない、そう思ったからだというのだ。
「この城でも」
「それがじゃな」
「こうしてです」
まさにとだ、今度は次兄が話した。
「棟梁ご自身が使者として来られた」
「そこに肝っ玉を見たんじゃな」
「武士のまことの心を」
それをというのだ。
「見ましたので」
「だからじゃな」
「我等四人で話し合って」
そのうえでというのだ。
「決めました」
「そういうことじゃな」
「その次第です」
「まさか」
今度は三兄が言ってきた。
「そこまでの肝っ玉の持ち主とはです」
「思わんでじゃな」
「ただ軍勢が強いだけと思っていたのですが」
それがというのだ。
「違うので」
「それで降ってか」
「我等の命で許してもらおうと思っていましたが」
「我等四人もとは」
それがとだ、末っ子も言ってきた。
「思っていませんでした」
「そうでしたか、ですが」
その末っ子に謙二が応えた。
「こちらは最初からです」
「そのつもりはなかったのですか」
「無駄な血は流れないに越したことはありませんね」
「そのお考えで」
「そして強敵は味方になれば」
その時はともだ、謙二は話した。
「頼りになる味方にもなります」
「そのお考えもあったのですか」
「この考えは戦の中で生まれました」
「そうでしたか」
「ではですね」
「これでそなた達は全員俺の家臣となった」
謙二がここで顔を向けた英雄は今このことを宣言した、それは一人ではなく全員に対して告げるものだった。
「これから宜しく頼む」
「わかりました」
「ではです」
「これから身を粉にして戦います」
「そうさせて頂きます」
「俺はこの浮島を統一してだ」
英雄は四兄弟に自分の目的のことも話した。
「海の魔神を倒す」
「そう聞いていましたが」
「本当にお考えですか」
「その様に」
「そうでしたか」
「そうだ、本気だ」
まさにと言うのだった。
「最初からな」
「まさかと思っていましたが」
「心からそうお考えとは」
「この世界を石化から救い出して」
「海もですか」
「全て鎮める、魔神がどれだけ強くとも」
それでもとだ、英雄はさらに言った。
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