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その日、全てが始まった
第1章:出会い
第05話『諸行無常と永久不変』
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物凄い勢いでトークが飛んでくるな……」

 ボヤいた洸夜は携帯を放り出し、腕を頭の後ろで組んで仰向けになる。
 すると、部屋の扉がコンコンと2回ノックされた。

「はーい?」

 洸夜が返事をすると、扉が開いた。

「洸夜、今空いてる?」

 そう言って覗き込んできたのは、紗夜だった。
 意外な来客に、少し驚いていた洸夜だったが、即座に上体を起こすと、応答した。

「空いてるが。なんでだ?」
「少し、教えて欲しいことがあって」

 そう言って紗夜は、部屋へと入ってきた。
 それを見た洸夜は、ベッドの端に座り直した。
 対する紗夜は、洸夜の隣に座った。

「で、何が分からないって?」
「数学のこの問題なんだけど……」
「微分……?」

 紗夜は、教科書を開きながら、問題を指差した。
 対する洸夜は『ん?』と首を捻った。

「微分って、大分先の範囲じゃないのか?」
「私達はもうやったのよ」
「流石花咲川……」

 と、呟いた洸夜は、教科書の問題を指差しながら、説明を始めた。

「先ず、微分って言葉の意味わかるか?」
「ええ」
「じゃあ、やり方からでいいか」

 そういった洸夜は、立ち上がると、机から紙とペンを持ってきた。

「この数……『(x?)'』ってのは、変化させると?」
「3x??」
「その通り。だからこの式の答えは……こうだ」
「……なるほど。そうなるのね」
「他の問題も要領は同じだ。これで出来るようになったはず」

 そう、と言った紗夜は、立ち上がった。

「机借りてもいいかしら?」
「何故」
「どうせ今の今まで使ってなかったでしょ」

 痛いところを突かれた洸夜は、ウッ、と声を漏らした。
 対する紗夜は、それにと言って言葉を続けた。

「ここでやれば、詰まった時貴方(洸夜)に聞けるでしょ?」
「はいはい……分かりましたよ」

 その言葉を聞いた洸夜は、反論を諦めて、ベッドへと寝そべった。
 そして、先程投げた携帯を掴む。

「……うわぁ」
「どうしたの?」
「いや、メッセージの通知がこの短時間で1000件を超えてたから……」

 洸夜が紗夜に対して掲げた携帯の画面には、確かに通知が1000件来ていることを示していた。

「大変ね」
「まあ、面白いからいいや。後、なんかあったら呼んでくれ」
「ええ」

 そう言葉を交わした後、洸夜は再び携帯とにらみ合った。
 グループ内での会話を、上から目を通していく。
 その結果わかったこととしては、話が何も纏まっていないという事だった。

『お前ら、何をやっているんだ……』

 洸夜は、グループへメッセージを投下した。

『中々いい案が纏まらなくてな』

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