第二章:空に手を伸ばすこと その弐
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を刺すことが困難であることから掃討戦にも向いていない。馬上槍が得意なものは別だが。
今回の場合は敵兵を追討することではなく、敵が逃げ込む先を知るために、そして自分達の安全のを確保するために騎兵を先行させたのであろう。この軍の頭は随分と賢いらしい。
やがて騎兵を先導する、恐ろしい見た目の大剣を片手で背負う女性、指揮官と思われる、が隣に馬を寄せて話しかけてきた。
「無事のようだな、旅人達よ。後に我々に任せておけ」
「ご助力、感謝申し上げます。これに乗じる形となって恐縮ではありますが、どうか私の連れを・・・」
「あぁ、そのために来たのでもあるからな。」
女性は部下に仁ノ助と詩花を保護するように命を事前に受け取っていたのであろう、命を出すまでもなくすばやく彼女の部下が駆け寄ってくる。
「こちらです、馬の方も面倒を見ましょう」
「ありがとうございます...」
彼らの厚意はこの状態ではとてもありがたい。肩で息をする詩花は武器を騎兵の指揮官の部下に預けて、
肩を支えながら金毘に乗せられている。金毘が心配するように鼻を鳴らすと彼女は疲労を抑えながら首を撫でる。
それを見ようともせずに指揮官は一刻も早く戦果を挙げんと馬上にて命令を下す。
「賊共を一人残らず逃がすな!!!!我に続けえええ!!!!」
「殺すのが目的ではありませんよ、将軍!!!!」
副官と思われる双剣の女性が指揮官を諌めるもそんなの知らんといわんばかりに女性は馬に鞭を入れた。逃走した黄巾賊の後を追撃して討ち取らんとする闘気が暑苦しくなるほどに伝わってきており、彼女が騎兵と共に去って行くとなぜか妙に空気が冷えて感じてしまう。
それを半ば呆れた視線で見送っていると、残った親切な部下が仁ノ助の方をみて言葉を紡ぐ。
「我が軍の大将があなたに会いたいとの仰せであります。どうかご足労願いたい」
「それは大いに喜ばしいことではありますが、一つお伺いしたい。あなた方は『誰の軍』ですか?」
彼の質問が意外なものだったであろうか、部下の人は一瞬目を瞬かせてしまう。しかし直ぐに気を取り直して誇りに満ちた表情を出して応えた。
「我らの主にして騎都尉、そして大陸に覇を唱える真の統治者であらせられる、曹猛徳様の軍隊です」
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